こんにちは!アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。6月21日(土)と22日(日・オンライン)に、第146回アドラー心理学研究会Plusを開催しました。今回のテーマは、「アドラー心理学とレジリエンスで、しなやかな心作り⑥『精神的柔軟性で “見方”と“つながり”をやさしく整える』」です。この6カ月で、「レジリエンス(心の回復力)」を育てる力を丁寧に学んできました。今回はその最後の力「精神的柔軟性」を深堀りしました!
レジリエンスについての詳しい説明は、⇒ 1月のブログをお読みください。
1. レジリエンスの精神的柔軟性とは
精神的柔軟性(psychological flexibility)とは、「自分の考えや感情にとらわれずに、状況に応じて柔軟に視点や行動を切り替える力」であり、自分の価値観を大切にしながら柔軟に視点を切り替え、行動を選択する力のことです。レジリエンスの観点では、困難な場面でも“ひとつの見方に固執せず、多面的にとらえ直す”ことが、心の回復力を高めるカギとなります。
この精神的柔軟性は、先月の「自制心」、先々月の「自己認識」とともに、レジリエンスの核となる重要な要素です。
この力は、アドラー心理学の「リフレーミング」や「目的論」と一緒に学ぶことで、自己理解を深めながら、他者とのつながりを再構築する土台となります。
2. アドラー心理学との親和性
アドラー心理学には、「精神的柔軟性」を育てるヒントが多く含まれています。
① 認知論(意味づけの変更=リフレーミング)
アドラー心理学では、「人は出来事をそのまま見るのではなく、自分の意味づけを通して世界を見ている」と考えます。つらい出来事でも「意味の見直し(リフレーミング)」ができれば、過去の体験が違った価値として蘇ることがあります。
→ 精神的柔軟性は、視点の切り替えに必要な力です。
② 目的論(反応の奥にある意図を見る)
感情や行動には「目的」があるとするのがアドラーの目的論。たとえば、「怒り」は相手を
変えようとする目的が隠れていたり、「落ち込み」は自己防衛の役割を担っていることもあるのです。
→ 柔軟な思考で「この反応は何を守っているのか?」と見立て直すことが、対応力の向上につながります。
③ 自己決定性(選び直しの自由)
「他人や環境のせいでこうなった」と感じると、柔軟な対応が難しくなります。アドラー
心理学では、「自分の生き方は自分で決められる」という信念(自己決定性)を重視します。
→ 困難の中でも、再び選び直す自由を思い出すことが、しなやかな回復力を育てます。
今回のグループワークでは、精神的柔軟性を阻む自己批判を、あえて優しいまなざしで見る練習をしました。そうすることで、自己批判を“否定する”のではなく、“理解する”ことができます。
自己批判は、脳にとっては良いことはないのですが、実は「自分をよくしたいという願いの裏返し」なのです。その願いを表に出して、スポットライトを当ててみました。その願いの背後には、自分の価値観が隠れていることが多いものです。今すぐに価値観に気づかなくても、「もしかしたら、これを大切に生きているのかも」、「この価値観を脅かされそうになるから、イライラするのかも」というささやかな気づきが訪れるかもしれません。
今月のまとめ
- 精神的柔軟性は、「自分と世界の見方をやさしく整える力」。
- 頑なな心よりも、やわらかくしなやかな心が、人生の荒波を乗り越える大きな力になる。
- 見方が変われば、感じ方も行動も変えられる。アドラー心理学の「目的論」は、その変化を後押しする視点をくれる。
- 「どう見るか」は自分で選べる。その積み重ねこそが自己決定性であり、人生の物語を変える原動力になる。
次回のご案内
次回、第147回アドラー心理学研究会Plusは、7月19日(土)札幌市民交流プラザ 控室403、20日(日)ZOOMで開催します。
テーマは「アドラー心理学とレジリエンスで、しなやかな心作り⑦『折れない心の種を、自分の中に育て続ける』」です。レジリエンスシリーズの集大成! これまでの学びを、生きる実践として活かせるよう、ワークを通して落とし込みます。ぜひ、ご一緒しましょう!
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。