第144回アドラー心理学とレジリエンスで、しなやかな心作り④ 「思考のクセに気づく! レジリエンスを鍛える自己認識ワーク」

こんにちは!アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。4月19日(土)と20日(日・オンライン)に、第144回アドラー心理学研究会Plusを開催しました。今回のテーマは、「アドラー心理学とレジリエンスで、しなやかな心作り④『思考のクセに気づく! レジリエンスを鍛える自己認識ワーク』」です。
レジリエンスについての詳しい説明は、⇒ 1月のブログをお読みください。

1.レジリエンスの自己認識とは?

自己認識(self-awareness)」とは、「今、自分は何を感じているのか、どんな思考や反応パターンが働いているのか」を、客観的に観察できる力のこと。人はストレスがかかると、無意識のうちに「いつもの思考のクセ」で自動反応してしまいます。自動反応を止める第一歩が「気づくこと」です。「このパターン、いつものクセだな」と気づければ、選び直す力(自己制御)や視点の切り替え(再解釈)が生まれるのです。アドラー心理学では、この思考のクセはライフスタイルが元になっていると考えます。

2.ライフスタイルとは何か? ~アドラー心理学から見た「意味づけ」のクセ~

私たちは、目の前の現実をそのまま体験しているわけではありません。アドラーはこう言っています:

「人間は(主観的に)意味づけられた世界に住んでいる。われわれはありのままの環境を体験するのではなく、常に人間にとっての重要さに応じて環境を(意味づけてから)体験する。……人間であるかぎり、意味づけから逃れることはできない。われわれは、われわれの与えた意味づけを通してのみ現実を体験するのであって、現実そのものではなく、何らかの形で解釈された現実を体験するのである。」

この言葉が示しているのは、「私たちは、自分自身のフィルターを通して世界を見ている」ということ。たとえば、
先生に注意された → 「怒られた。嫌われたかも」と感じる人もいれば、
同じ場面で → 「ちゃんと自分のことを、見てくれているのだ」と思う人もいます。
この「どう意味づけるか」は、その人ごとの「ものの見方のクセ(=認知のパターン)」に影響されています。

3.レジリエンスを育てる自己認識の力

レジリエンスとは、単に「強くなること」ではありません。
むしろ、こうしたパターンに気づいて、必要なときに立ち止まり、見直し、柔軟に選び直すことができる力です。

その選び直しの第一歩が、「自己認識」です。
自己認識とは、「今、自分は何を感じているのか、どんな思考や反応パターンが働いているのか」を、客観的に観察できる力です。たとえば、「あ、今イライラしているな」、「また “私はダメだ” って思っているな」、「この場面、苦手かも」といったように、心の中の “いつもの反応” に気づけること。

気づいた瞬間というのは、例えるなら「自動運転中の思考にブレーキがかかる瞬間」。脳はそこでふと立ち止まり、「あれ?いつもと違うぞ」と小さな違和感を覚えることがあります。「このままいつも通りでいいじゃない」と、無意識に戻そうとする力も働くかもしれません。でも、実はその違和感こそが、選び直しへの扉なのです。

違和感は不快に感じるかもしれませんが、見方を変えれば、それは「変化の兆し」。その瞬間に、自分の内側で何が起きているのかに丁寧に目を向けることで、反応のパターンを書き換える第一歩を踏み出すことができます。

今回の研究会では、「レジリエンスを育てる!自己認識ワーク」と「キーワードに対する意味づけを探るライフスタイル探求ワーク」の2つを行いました。たとえば「他者」という言葉に対しても、人によっては「ぶつかりやすい存在」、「自分を試してくれる人」、「自分を成長させてくれる人たち」、「よくわからない存在」など、さまざまな意味づけがありました。ひとつの言葉から広がる多様な解釈を共有し合う中で、「自分の見方ってこうだったんだ!」、「こんな考え方もあるんだ!」と気づく場面がいくつも生まれました。

そうした気づきは、私たちのライフスタイル(=物事の捉え方や反応のクセ)に風を送り、固まっていた視点にゆらぎを与えます。ゆらぎは、ときに心の柔軟性を取り戻し、レジリエンスを育てる土壌となっていきます。

今月のまとめ

  • ライフスタイルとは、幼少期に身につけた「自分や世界の見方・意味づけのクセ」で、思考・感情・行動パターンに影響している。
  • レジリエンスは、ストレスに対して柔軟に対応する力。その根底にあるのが、自分の反応パターンに気づく「自己認識」の力。
  • 自己認識を高めることで、感情をコントロールしたり、反応を選び直すことができる。

次回のご案内

次回、第146回アドラー心理学研究会Plusは、5月24日(土)ZOOM25日(日)札幌市民交流プラザ SCARTSミーティングルーム1で開催します。いつもの開催と曜日が逆転していますので、ご注意ください。
テーマは「アドラー心理学とレジリエンスで、しなやかな心作り⑤『自制心と感情のコントロール』」です。レジリエンスの「自制心」は、衝動や感情に流されず、落ち着いて状況を受け止め、適切な行動を選ぶための力です。一方、アドラー心理学では、感情は「目的を持って使われるもの」とされます。これらの違いと共通点について学び、感情をもっと身近に感じられるようにしませんか? ぜひ、ご一緒しましょう!
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。


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