第116回「年間テーマ「自分と共に、人と共に生きる」を振り返る ~共同体感覚、そしてセルフ・コンパッション~」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2022年12月10日(土)と11日(日・ZOOM)、第116回アドラー心理学研究会を開催しました。今年最後の研究会、1年半ぶりに参加くださった懐かしいメンバーもいて、盛り上がりました。

今年は1年間、「自分と共に、人と共に生きる」という年間テーマのもとに、毎月のテーマを決めて開催してきました。自分と共に「在る」ということは、自己理解と自己勇気づけをしながら、自分を大切に接すること。アドラー心理学とマインドフルネスとセルフ・コンパッションの要素を含みます。そして人と共に生きることは、共同体の中で私的論理をすり合わせて共通感覚を身につけ、相互協力、相互理解、相互信頼を高めていく生き方です。この、懐の深い年間テーマから引き継がれた2023年のテーマは、「私らしさを活かして、全体性を生きる」に決まりました。

11月に、アドラー心理学研究会メンバーとメールマガジン会員の方を対象に、毎年行っているテーマのアンケートを行いました。その中に「個性を活かす 全体性を生きる」というのがあって、若干改変させていただき、来年のテーマとさせていただいた次第です。

全体性とは、欠けたもののない、満ち足りた状態を意味しています。私たちは成長するにしたがって、自我を確立しライフスタイルに沿って生きるようになります。そこで他者との違いを認識し分離するようになります。分離は自分の内面でも起こります。本来の自分と、あるべき姿の自分(自己理想)のギャップで劣等感や葛藤が起こります。

全体性を生きるとは、自分の内部や外部に対して作られたネガティブな分離をなくし、繋がりを取り戻したり一体感を得ることになります。今年のテーマから引き継がれるようなテーマとなるのではないでしょうか。自己理解を深めること、自己共感を実践することで、全体性を体感できる1年になるよう、開催していきたいと思います。

さて、年内最後の研究会のテーマは、「年間テーマ『自分と共に、人と共に生きる』を振り返る ~共同体感覚、そしてセルフ・コンパッション~」です。1年を通して自分が関わってきた共同体(家族や職場など)での共同体感覚についてグループワークを行いました。

共同体感覚はアドラー心理学の中心的思想で、共同体に対する所属感、共感、信頼感、貢献感などを総称した感覚や感情のことです。共同体感覚は、精神的な健康のバロメーターとされ「幸福」には欠かせない要素です。共同体の仲間と横の関係を築くことで実現する「つながり感覚」とも言えるでしょう。上の図には「お互いが心の支えとなるための」と記しましたが、とくに困難な状況にあったときには非常に重要な要素となります。研究会のメンバーの中にも、介護や家族の病気のサポートなどに関わっている方が何名もいらっしゃいます。その中で、共同体感覚という言葉こそ知らなくても、この感覚を意識し、お互いに大切にすることで、現場で効果を発揮するという意見もありました。そして、有事の時こそ互いを勇気づけすることで、共同体が一丸となって共同の課題に取り組めるのではないでしょうか。

一方、セルフ・コンパッションは自分に対しての自己批判をやめ、ネガティブな感情を抱えながらも自分に優しく丁寧に遇する態度のことです。セルフ・コンパッションができていると、自分の中の不満が減るので、充足感に包まれるような満ち足りた感覚が作られます。安心である、安全であるという感覚は、私たちの心身の緊張を取り除き、笑顔も増やします。

ZOOM研究会のグループワークでは、今年自分を満たした体験についてもシェアしました。セルフ・コンパッションでは、モノやカネはwantsというグループに、時間や関係性、静けさや自然という形のないものをneedsというグループに分けます。物欲がかかわるwantsは、何かとエスカレートする傾向がありますが、needsは満たされたところで落ち着きます。自分の心(ハート)が求めるものは、ほとんどがneedsです。形のないもので、あなたが大切にしているものは、何でしょう?

私自身は、短い時間でも自然の中に身を置くこと、ひとり静かな時間を過ごすことが最大のneedsだと気づいています。通勤時に少し早く家を出て、朝の公園で5分程度深呼吸をして過ごすという、ほんの小さな工夫が、自分のストレスを大幅に減らしてくれました。仕事前にいろいろ考えてしまう思考優位の状態を、リセットしてくれる効果もありました。

今月のまとめです。

  1. 共同体感覚には、お互いが仲間だと感じられる所属感がとても重要。
  2. 自分に価値があると実感するには、自己否定をやめ、自尊心を大切に。
  3. 相手との繋がりも大事。自己共感して自分とつながることは、もっと大事。

次回は2023年初の研究会です。テーマは「私らしさを活かして、全体性を生きる」とは?
~アドラー心理学のライフスタイル(認知論)と、マインドフルネスの全体性を感じるワーク~

ぜひご参加くださいね。

1月21日(土・交流プラザ)、1月22日(日・ZOOM)です。
会員にのみ、ZOOMの録画配信をしています。ぜひご利用ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。

※記事の内容やイラスト、写真の無断使用や転載はしないでくださいね。


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