自己肯定感って、どう育つの? 物語の中から見えてきたこと

こんにちは、smaccのセラピスト、佐高葵月代です。

「もっと自己肯定感を高めたい」
「どうしたら、自信が持てるようになりますか?」

心理学やマインドフルネスを学ぶ場で、よく出てくるこのテーマ。
けれど、よくよく話を聞いてみると、
「自己肯定感って、“自分にOKを出すこと”ですよね?」
「ポジティブに考えられるようになれば、自己肯定感が育つんですよね?」
――そんなふうに、“うまくいっている自分”を肯定するもの、と誤解されていることも多いのです。

でも実際の自己肯定感って、
もっと不器用で、揺らぎながら育っていく“心の土台”のようなものなんです。

そして、その育ちには「自分との関係の変化」が深く関わっていると、私は感じています。

失敗しても、落ち込んでも、「大丈夫」と言える自分へ

アドラー心理学では、困難を乗り越えるための力のことを「勇気」と呼びます。
ここで言う困難とは、人生の中で出会うさまざまな壁のこと——失敗や挫折、なんとなくうまくいかない時、人間関係でのつまずきなどが含まれます。

そんなとき、
心の声に耳を傾け(自己共感)
ありのままの自分を受け止め(自己受容)
そして、自分の力を信じること(自己信頼)

これらすべてが、「少しずつでも前に進んでみよう」と思える“勇気”を育みます。
この勇気こそが、自己肯定感をゆっくりと育てていく原動力になるのです。

「不完全でもいい。今の自分から始めてみよう」
そう思える心の土台。
それが、何よりも大切な“自分との関係性”です。

大切なのは、「うまくやれるかどうか」ではありません。
本当に問われているのは、「うまくいかなかったとき、自分をどう扱うか」という姿勢です。

たとえば――

①「またうまくいかなかったな。やっぱり私はダメだ」
②「今回はうまくいかなかったけれど、次は別のやり方を試してみよう」

この2つのセルフトークは、事実としては同じ出来事を受けています。
でも、自分にかける言葉のトーンと視線の向きがまったく違います。

②は、現実をきちんと受け止めたうえで、そこから希望を見出し、未来に向けて歩もうとする姿勢が感じられます。

こうした“何気ない自分とのやりとり”は、日々少しずつ積み重なっていきます。
そしていつか、「私は、自分のいちばんの味方でいられる」という実感へと育っていくのです。

物語の力で、心の深いところに届くもの

私はこれまで、アドラー心理学研究会Plusや精神科のクリニックで、マインドフルネスやセルフ・コンパッション、アドラー心理学などを伝えてきました。
けれど、どんなに大切なことでも、「言葉で説明」するだけでは伝わらない感覚があると感じていました。

あるとき、物語的な「たとえ」を使って説明したところ、
「自分のことを言われているみたいで、妙に腑におちた」
「ストーリーがあると、難しい心理学のこともわかりやすく感じる」
との声を多数いただきました。

そのとき、私は確信しました。
物語の力には、“心の奥にそっと届く”やさしい力があるのだと。

『ココロ・キングダム』という物語

そんな想いから生まれたのが、初めての私の著書
『ココロ・キングダムⅠ~物語で学ぶ、しなやかな心の育て方~ : 自己受容と希望の旅』です。

主人公は、心に迷いや痛みを抱えた若き王女マチルダ。
彼女が、自分らしさと希望を取り戻すための旅に出るファンタジー物語です。

でも、単なるおとぎ話ではありません。
物語の各章のあとには、アドラー心理学・マインドフルネス・セルフ・コンパッション・レジリエンスといった、現代の心理学の知恵をちりばめた詳しい解説を載せています。
物語を楽しみながら、いつの間にか「心の取り扱い方」が身につく構成になっています。

そして、何より私が願ったのは――

「あなたの心の中にも、王国がある」
そのことに、そっと気づいてもらうことでした。

自己肯定感は、心の旅の途中にある

自己肯定感は、何かを達成した先に“もらえる”ものではありません。
「今、ここにいる自分」に向けるまなざしの中で、日々、そっと育っていくもの。

だからこそ、自分との関係を見つめなおす「心の旅」が必要なのだと思います。

『ココロ・キングダム』が、あなたにとって、
その旅の小さなきっかけになれたら――。

そんな願いをこめて、物語を書きました。

📚『ココロ・キングダム ~物語で学ぶ、しなやかな心の育て方~』は、電子書籍とペーパーバックの2種類で、2025年7月24日amazonから発売予定です。
よろしければ、ぜひ手に取ってみてくださいね。
www.amazon.co.jp/dp/B0FD31F27G


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