
こんにちは!アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。11月15日(土)と16日(日・オンライン)に、第151回アドラー心理学研究会Plusを開催しました。3回連続でのシリーズ「アドラー心理学 × メタ認知 × マインドフルネス~“自分を観る力”で、視野を広げて心をひらく~」のまとめの回として、テーマは「しなやかな勇気 ― 気づき・選択・つながりの再構築~アドラー心理学の勇気づけを軸に、レジリエンスとメタ認知の統合を語る~」としました。
勇気という言葉から、「折れずに頑張る力」「強さ」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
けれど、アドラー心理学が語る勇気は、困難を恐れながらも、自分の価値を信じ、つながりの中で生きていく力です。
折れないことよりも、折れそうになったときに、戻ってこられること。
それが「しなやかな勇気」なのだと、あらためて確認する時間となりました。
メタ認知 ― 自分の「ライフスタイル」を観察する目
メタ認知とは、自分の考え方や感じ方を、一歩引いて見つめる力のこと。
アドラー心理学では、人は誰もが「自分だけの眼鏡(ライフスタイル)」を通して世界を見ていると考えます。
このライフスタイルは、
- 私はどんな人間か
- 世界はどんな場所か
- 私はどう生きるべきか
といった、無自覚的な信念の集合体です。
出来事そのものではなく、その出来事をどう意味づけているかが、感情や行動を左右していることに気づく――
それが、メタ認知の入り口です。
「変える」のではなく、「理解し、選び直す」
今回の研究会では、ライフスタイルに気づくことの目的は、「変えること」ではなく、「理解し、選び直すこと」だという視点を大切にしました。
「私はこう考えてきたけれど、別の見方もあるかもしれない」
そう思えた瞬間、固定化されていた認知の枠が、少しゆるみます。
この“ゆるみ”こそが、レジリエンスにおける精神的柔軟性であり、しなやかな勇気の土台になります。
勇気づけ ― 「できない」ではなく「まだできていない」
アドラー心理学の勇気づけでは、人を「原因」ではなく「目的」で理解します。
「なぜできなかったのか」ではなく、「これから、何を目指すのか」
「できない」という言葉は、過去を前提にした原因思考。
一方で「まだできていない」という言葉には、未来に向けた可能性が含まれています。
この視点は、認知論・目的論・自己決定性をつなぐ、大切なキーワードです。
しなやかな勇気を育てる3つのステップ
研究会では、しなやかな勇気を育てるプロセスを次の3つのステップで整理しました。
① 気づく
今、何を感じ、どんな言葉を自分にかけているかに気づく。
→ ここでメタ認知が働きます。
② 選ぶ
反射的に反応するのではなく、対応を選択する。
セルフ・コンパッションの言葉を使ってみるのも一つです。
③ つながる
自分への勇気づけは、やがて他者へと波及します。
これが、アドラー心理学の「共同体感覚」です。
勇気は、循環していく
今回のワークでは、「言葉」を通して、それぞれの中にある価値観や見方を分かち合いました。
他者の言葉に触れることで、自分のライフスタイルが少し動く。
その小さな揺らぎが、新しい勇気の芽になります。
勇気とは、恐れをなくすことではありません。
恐れを抱えたままでも、一歩進める力。
レジリエンスがその一歩を支え、
メタ認知がその一歩を見守り、
勇気づけが、その一歩を照らします。
今月のまとめ
- 勇気とは、恐れをなくすことではなく、恐れを抱えたままでも、一歩進める力。
- レジリエンスがその一歩を支え、メタ認知がその一歩を見守り、勇気づけがその一歩を照らします。
- 「気づき」「選択」「つながり」――この三つの輪が重なったとき、人は自己決定性を使って、しなやかに立ち上がれる。
次回のご案内
次回、第152回アドラー心理学研究会Plusは、12月20日(土)札幌市民交流プラザ 2階 ミーティングルーム1、21日(日)ZOOMで開催します。
テーマは、「心のしなやかさを身につけて、未来を切り拓く ~ この1年の学びを私の言葉に ~」です。1年間を振り返り、ワークを通して、自分の中に学びをやさしく落とし込みます。みなさんからのアンケート結果をまとめて、来年の年間テーマも発表します!
ぜひご参加ください❣️




















