アドラー心理学研究会代表の佐高葵月代です。
5月20日(土)第49回の研究会が無事に終わりました。参加者数38名、初参加の方3名をお迎えしました。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
今月のテーマは「アドラー的に考える、愛と結婚」です。アドラーは、著書『生きる意味を求めて』の中で、
パートナーの正しい選択には、身体的な適性や魅力の他に、主としていずれも十分な共同体感覚の程度を示さなければならない、以下の点を考慮しなければならない。
友情を保持できること、仕事への関心を持つこと、自分よりもパートナーに関心を示すことである。
と述べています。
アドラー心理学では、人間が人生で取り組まなければならない様々な課題のことを、ライフタスクと呼びます。上記の言葉においては、「仕事(ワーク・タスク)」「友情(フレンドシップ・タスク)」が示され、最後に「愛のタスク(ラブ・タスク)」に取り組むことを示唆しています。これらの3つの課題が、「ライフタスク」です。
人生における成功とは、これら3つの課題を解決することを意味します。あらゆる課題に取り組むには、共同体感覚と勇気と協力が必要です。
私たちを取り巻く様々な課題は、対人関係の中で起こるとされ、それをどう解決していくかは個々のライフスタイルに関わっているとされます。
アドラーは、
愛のタスクとは、われわれ人類が2つの性からなっているという事実、そして人類の今後の存続がわれわれの家庭生活によって決まってくるという事実にどう対処するかということである。
とも述べており、愛のタスクが家庭内だけではなく、自分たち以外の人類にまで影響を及ぼすと言っています。これは、共同体感覚を、家庭内だけではなく、さらに外側にまで広げていく必要があるということです。
愛や結婚には、ヨコの関係(平等)という基礎があって、共同体感覚が不可欠であるというのが、アドラー的な解釈です。結婚では、お互いの共同体感覚が試される場であり、高めていくことで、実りある結婚が実現するかどうか問われるところでしょう。
冒頭の言葉で述べられているとおり、仕事<友情<愛と、タスクの難易度が上がることから、仕事のタスクと交友のタスクをクリアできて、愛のタスクに取り組む準備ができると解釈できます。
今回は、ワークとして
Work1:今までパートナーに対して、自分の損得より、相手を優先した出来事は何でしょうか。その時、相手はどのようにそれを受け止めたでしょうか。
Work2:今までパートナーが自分の損得より、あなたを優先した出来事は何でしょうか。その時、あなたはどのようにそれを受け止めたでしょうか。
Work3:今以上に、あなたとパートナーがより良い関係に発展するには、何が必要でしょうか。あるいは、何をやめたらよいでしょうか。具体的に考えましょう。
という3つのワークを行いました。テーブルからは様々な意見、体験、そして涙があふれる場面もあり、それぞれのパートナーや大切な方への気づきがあったようです。
最後に、私が好きなウルフ(アドラーの弟子であり、精神科の医師)の言葉で締めくくります。
愛における幸福は、自由と同じように、絶えず気を配り、絶えず互いに歩み寄る努力をしてはじめて手に入るものである。
(中略)
幸福と同じように、愛が成就するためには、2人共が、自分は相手にとってだけでなく、人間全体にとっても価値があると自信を持っていて、相手に十分な適応力があって、自分にとってだけでなく、人類にとって役立っていると喜んで認められることが必要である。
W・B・ウルフ『どうすれば幸福になれるか(下)』
第11章「協力のパターン ―愛と結婚-」
来月はいよいよ、研究会開催50回記念 岩井俊憲先生の講演会です!
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残席少なくなってきました。お早めにお申し込みください。
一般の方の割引料金は5月31日までとなっております。
皆さんのお越しを、お待ちしております。
定例の研究会のスケジュールは、下記のとおりです。
第51回 7月15日(土) 中研修室1(2F)
第52回 8月19日(土) 中研修室1(2F)
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みなさんにお会いできるのを、楽しみにしています!
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