アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2021年10月16日(土)と17日(日・ZOOM)、第102回アドラー心理学研究会を開催しました。
今回の前半のテーマは「逆引きアドラー心理学」です。「逆引き」とは、「こんな場面でアドラー心理学をどう使ったらいいの?」というケースを、9月の研究会で全員に出してもらいました。すると「あるある!」というケースが29個も! 重複した内容も多く、似たような場面で、みなさんが葛藤しているのがわかりました。私から、それぞれの課題にアドラー心理学のどの理論を使うかをキーワードとして提案し、それにコメントを付けていたら、A4で14ページにもなり、またびっくり。10月にご参加いただいたみなさんには、資料としてPDFでダウンロードできるようにしました。
研究会では、その中の一つのケースを取り上げ、グループワークで「アドラー心理学的視点で、どう解決につなげるか?」と検討しました。その内容は、
【ケース】本心とは逆の言葉や態度をとってしまう同僚。本当は優しい気持ちをもっていても、心配しているとか、助けたいと言えずに、そっけない態度やマイナス発言をしてしまう。このような人とのコミュニケーションは?
【 解決のためのキーワード】勇気づけ、共同体感覚
他者の勇気づけのポイントを踏まえながら、考えてみましょう。
【佐高からの提案】思っていることと、話すこと、実際の行動に一貫性がない(自己共感ができていない)ので、自分の中に矛盾を感じているかもしれません。アドラー心理学では、このような人は神経症になると定義づけています。その方が常に何時も矛盾しているとは考えづらいので、他者に優しさを向けているときに勇気づけてみるのはどうでしょう。例えば「〇〇さん、良いタイミングでフォローできていますね」「〇〇さんが手伝ってくれていることで、△△さんも、助かっていると思いますよ」など。
「この人、変わっているな」という目で同僚を見てしまうと、変わっているところしか目に使につかないものです。あたりまえで目立たない良いところを探すのは、周りの人にとってはエネルギーが要るものです。しかし、やってみると他者の勇気づけが、実は自分の勇気づけになることもあります。できる範囲でやってみましょう。
グループワークでも、相手の話を否定せずに聴く、横の関係で信頼関係を作って自尊心を養ってもらう、ささいなことでも笑顔で声掛けをする、忍耐強く共同体感覚を互いに育てる、など勇気づけるポイントがたくさんでてきました。そして、メンバーからはこんな声も聞かれました。「相手のことを嫌だなと思ったり、付き合うのがしんどいな、という気持ちを感じたときは、それを否定しない」という点。これは、勇気づける側にはとても大切なことです。ネガティブなものであっても、いったん自分の気持ちを受止めてから、「さぁ、じゃあどうしようか?」と向き合うことで、自分に対する共感が得られます。
後半のマインドフルネスでは「マインドフルネスで心のお片付け」をテーマにしました。マインドフルネスでは、思考、感情、身体感覚に「空間づくり」をするのを意識していきます。よく「考えがまとまらない」状態は、考えすぎて思考で溢れている状態。そのような思考から導かれる感情が心を満たします。「不安」「焦り」「イライラ」など。思考や感情は形がないので、とらえどころがありません。何らかの行動に移して、初めて私たちは「形」として体験するのです。
思考や感情の整理の前に物の整理を体験すると、自分が物に与えている価値がわかり、そこから自分に対する思いや価値観(自己概念、自尊心)に目が行きます。目に見える物との関係から、目に見えない心へアプローチする方法です。
このことが腑に落ちて、40リットルのゴミ袋を30個処分して、お部屋も心もスッキリして人生が前向きになった人もいます! ぜひお試しください。
今月のまとめです。
- アドラー心理学の両輪である勇気づけと共同体感覚は、すべての人にお勧め。
- 物に対する価値の本質は「大切にしているか」「管理できているか」
- 心に取り組む前に、物で練習すると、片付けは加速する。
次回のテーマは「課題の分離」と「マインドフルネスで出来事の見方を変える!リフレーミング」です。リフレーミングはしっかり練習すると認知を変える力のあるツールです。お楽しみに。
開催日は、11月20日(土・札幌市民交流プラザ)、11月21日(日・ZOOM)です。
会員のみ、ZOOMの録画配信をしています。勉強会に参加できない方は、ぜひご利用ください。
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