アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2022年10月15日(土・ZOOM)と16日(日)、第114回アドラー心理学研究会を開催しました。今月のテーマは「アドラー心理学の勇気づけ」「セルフ・コンパッションで自尊心を優しく包む」です。今回のリアル開催では、コロナの影響で当面休止している旭川の研究会からのメンバーや、毎月ZOOMに参加してくれている神奈川のメンバーのリアルな参加もあり、嬉しさいっぱいの開催となりました。今回はいつもの開催と曜日が逆転(ZOOMが土曜日)したにも関わらず、ご都合つけてご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
今月取り上げたアドラーの言葉はこちら。
できない自分を責めている限り、永遠に幸せにはなれないだろう。
今の自分を認める勇気を持つ者だけが、本当に強い人間になれるのだ
今回のテーマであるアドラー心理学の勇気づけは、何度もテーマになっているものですが、今回は勇気づけよりも、勇気くじきをやめることを中心にお話をしました。その方法として、
- 自己批判をしたり、他者と比較して、できないことにばかりに注目するのをやめよう。
- 言い訳をして、行動を先延ばしにしたり、できないことを人や環境のせいにするのはやめよう。
- 勇気をくじく人(悪口、暴言を吐く人)から精神的にも物理的にも距離を置こう。
- 高すぎる目標ばかり見るのではなく、スモールステップを踏み、一歩踏み出す努力をしよう。
- SNSとは上手に付き合っていこう。
という5つの提案とともに講義を進めました。アドラー心理学では、「今あるもの」「自分に備わっているもの」=リソース に注目して伸ばしていく方法を勧めています。周りと調和しながら、自分の人生を幸せに生きる心理学なので、自分がゴキゲンになることを積極的に考えます。しかし、自分が不機嫌になったり、物事をややこしくするライフスタイルでは、上記1~4がうまくできない方もいると思います。自分の勇気をくじくのをやめてから、勇気づけを始めることで、無理なく継続しましょう。
特に、自己批判は自分の勇気をくじく行為で、自己信頼を損ねます。自己受容をし、ネガティブな感情を感じている自分に気づき、不完全である自分を許す(認める)ことを意識的に行うことで、自らを勇気づける一歩になります。
5番のSNSですが、SNSに溺れたり、振り回されてメンタルの不調を訴える方が非常に増えています。現実と虚構の自分とのギャップで生まれる虚しさで、自己信頼の力が低下するのが原因のひとつとも言えます。SNSも情報のひとつです。利用にあたっては、自分の判断や直感を大事にしたいものですね。
自己勇気づけに必要なのは上の3つです。私たちが自分を信頼する力を取り戻し、過去の自分や理想とする自分ばかり追いかけるのではなく、今現在の自分を見据え、心に共感していくこと。これは、マインドフルネスとセルフ・コンパッションに匹敵するものです。そして、「あるがままの自分を受け入れることに価値がある」という気持ちを育てるのが勇気づけの特徴でもあります。
後半は「セルフ・コンパッションで自尊心を優しく包む」をテーマにグループワークを行いました。私たちの自尊心は、他者との比較や他者からの評価で、簡単に上がったり下がったりします。しかし、「自分らしさを大切にする」要素によって、自尊心を保つこともできるのです。失敗したり、対人関係でうまくいかなくて落ち込んでいるとき、自分を勇気づける「言葉」を積極的に使います。
メンバーからは、「大丈夫だよ」「ぼちぼち、やろうね」「(今度は)きっとうまくいく」など、思い出しやすく、そしてフィットする言葉がたくさん出てきました。それ以上の落ち込みで自尊心を下げる前に、ネガティブな感情を受け止めつつ和らげていきます。言葉は思考から生み出されるものです。みなさんの心のツイートでは、どんな言葉がつぶやかれていますか?
今月のまとめです。
- 勇気づけ ≒ コンパッション!
- 勇気くじき(自己批判)をやめてから、勇気づけに取り組もう。
- 勇気づけは技術。やり方を学び練習することで上達できる。
- 自分を大切にするためには、言葉を選び、最大限に利用する!
次回のテーマは「アドラー心理学の対人関係論を通しての自己理解」「マインドフルに五感を研ぎ澄ませる」です。
ぜひご参加くださいね。
11月19日(土・交流プラザ)、11月20日(日・ZOOM)です。
会員にのみ、ZOOMの録画配信をしています。ぜひご利用ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。