アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。12月14日(土)と24日(日・ZOOM)、第140回アドラー心理学研究会Plusを開催しました。今回のテーマは、年間テーマの「ホールネス再探訪 ~ 今ここから始める、ひとつ先の在り方へ ~」を振り返る でした。
昨年も「ホールネス」を意識した研究会でしたが、今年もさらに深めるという意味で、月ごとのテーマの背景にあったのは、下記の「ホールネス」でした。
- 欠けたもののない満ち足りた状態で、「全体性」や「全体感」を意味する。
- ポジティブもネガティブも含めた広範囲の心理状態を受け入れる能力を身につけ人生の出来事に効果的に対応できる状態のこと。
ホールネスを持つ人は、ネガティブな思考や感情を活かして使おうとするので、落ち込んだ状態にとどまりません。何らかの行動を起こし、建設的に「今」を捉えようと努力します。そこで、私たちが課題をどのように捉えるか、いかに客観視できるかをワークすることにしました。
方法としては、今年1年を振り返って、自分の課題(1つのエピソード)を取り上げます。下記について簡単にメモをしてから、アドけん特製「課題チャート」に書き込みました。
①誰の課題か(自分か、他者か)
②どんなエピソードだったか
③その時、どのように考え、どんな感情がわいたか
④その課題は乗り越えたか、今も向き合っているか
⑤乗り越えた方→どのように乗り越えたか。アドラー心理学のどんな要素を使ったか。今振り返って、どのような気持ちになるか。
今も向き合っている方→解決像はどのような状態か。
この課題を書き出す作業で言語化することで、かなり客観的になれる方が多かったようです。そして、この課題にタイトルをつけるのがキモなんです。タイトルは、ドラマや映画のように、ちょっとユーモアをもってつけるといいですよ。サンプルとして、私の課題をご紹介したのですが、そのタイトルは「骨折にさようなら~骨は折れても心は折れず~」です!(笑)
今年1月に右手首を骨折したのですが、なんと人生4度目の骨折。もちろん折れた時は痛かったですし、危うく手術かと思われたので、ハラハラドキドキしました。仕事は続けられるか…4度目の骨折なんて恥ずかしい…などなど渦巻く感情と身体感覚。当時は笑える状況ではないにしても、その時に乗り越えたプロセスは自分なりに勇気あるものだと今も思っています。
私たちは、まだ乗り越えていないと思っている課題でも、もしかしたらもうとっくに乗り越えていることもあります。ただ、私たちの心が乗り越える前で時が止まっているだけかもしれません。これからもチャートを利用して、課題の客観視にチャレンジしようと思います。
今月のまとめです。
①自分のダークサイドだって大事な一面。光を当てる(リフレーミング)ことで輝き出すこともある。
②課題を客観視するには、いくつかの項目に分けて分析する方法がベター。
③心(感情)を考える時、脳科学的な側面からの視点を持つと、おもしろいよ!
次回 第141回の開催は、1月18日(土・札幌市民交流プラザ 控室403)、19日(日・ZOOM)です。
テーマは「アドラー心理学とレジリエンスで、しなやかな心作り①「どうすれば未来志向型になれるのか?」です。
さて、今回は来年2025年の年間テーマアンケートをまとめた結果も発表しました。年間テーマの回答には下記のワードが目立ちました。
自己理解、横の関係、ライフスタイル、未来、自分らしさ
学びたいキーワードとしては、ライフスタイル(認知論)、自己理解、目的論、レジリエンスに注目が集まりました。同率のものでは、共同体感覚、勇気づけ、自尊心、横の関係、呼吸法など。以上を踏まえまして、来年の年間テーマは
心のしなやかさを身につけて、未来を切り拓く
に決定しました!ここでの「心のしなやかさ」とはストレスに柔軟な心「レジリエンス」です。近年、講演や研修でもレジリエンスをテーマにしたものが望まれるようになりました。そこで、2025年の前半はマインドフルネスのパートで、レジリエンスの講義を行い
ます。もちろん、アドラー心理学と絡めての月ごとのテーマを決めていきます。
レジリエンスには「自己認識(自己理解)」、「自制心(感情のコントロール)」、「精神的敏速性(客観視)」、「楽観性」、「自己効力感」、「つながり(=共同体感覚)」という6つの要素があります。それを丁寧に紐解き、自己理解に結びつけていければ…と計画しているところです。
「未来を切り拓く」は、アドラー心理学の未来志向と自己決定性をイメージしました。
アドラー心理学研究会(Plus)を立ち上げて11年、私たちは成熟し、子供や親も年齢を重ねてきました。この間、コロナ禍を経験することで、仕事や立場、共同体の形が変わったり、その関係性も変化して今に至ります。アドラー心理学とマインドフルネス、レジリエンス、セルフ・コンパッションを絡めて理解を深めることで、人生の岐路に立った時、別れの時など、自分を支える力(勇気)をより強く持ちたいと思います。
みなさん、来年もぜひ継続して、ともに学びましょう。
今年も大変お世話になり、ありがとうございました。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください!