心の中の「自動反応装置」を見つけよう ―― 無意識のクセに気づくと、自由になれる ――

こんにちは、smaccのセラピスト、佐高葵月代です。

「あ、またイラッとしてしまった!」
「また言いたいことが言えなかった…」
「なんでこんなに落ち込んでるんだろう?」

そんなふうに、あとから自分の反応を振り返ってモヤモヤしたり、自己嫌悪に陥ってしまったことはありませんか?

私たちは日々、膨大な情報や人間関係の中で生きていて、そのたびに心が自動的に反応しています。
まるで、心のどこかに「自動反応装置」があって、ボタンを押されたら即座に“同じ反応パターン”が起動するような。

この「反応装置」が作られたのは、たいてい子ども時代や過去の経験から。
そしてその多くは、かつての自分を守るために必要だった“こころの戦略”だったのです。

「反応のクセ」は、“がんばってきた証”かもしれない

たとえば、
✔ すぐに謝ってしまうクセ
✔ 本音を言う前に相手の気持ちを考えてしまうクセ
✔ 落ち込むと、無意識に孤立しようとするクセ

こうしたクセは、決して「ダメな自分」ではなく、
「迷惑をかけてはいけない」、「嫌われないようにしなきゃ」、「失敗したら居場所がなくなる」
――そんな不安や痛みを抱えながらも、自分なりに必死で乗り越えてきた結果かもしれません。

じつは、こうした「自動反応装置」は、過去の困難をなんとか乗りこえるために、私たちが身につけてきた“心の守り方”でもありました。
つまり、それもまた、レジリエンス(心の回復力)の一部だったのです。

まずは気づくことから 「メタ認知」という視点

こうした反応パターンに気づくことは、自分を責めるためではなく、自由になる第一歩です。

そのためのカギとなるのが「メタ認知」。

メタ認知とは、“考えている自分に気づく力”のこと。
イラっとしたときに、「あ、今イラっとしてるな」と気づく。
自分を責めているときに、「今、また自分を責め始めてるな」と観察する。

この“ひと呼吸おいた気づき”があるだけで、心の反応に巻き込まれすぎずにすみます。
ここに生まれるのが、マインドフルネスが教えてくれる「余白」です。

余白があれば、「意味」を選び直せる

アドラー心理学では、「人は、出来事そのものではなく、それに与える“意味”によって感情や行動が決まる」と考えます。

つまり、
✔「怒られた=ダメな自分」と思えば落ち込み、
✔「怒られた=期待されている」と捉えれば行動を変える力にできます。

この「意味のつけかえ」ができるようになるためにも、まずは“気づく”という視点が必要なのです。

あなたを縛っているのは、「もういらなくなった反応」かもしれない

たとえば私は、昔から「遠慮しすぎるクセ」がありました。
人前で話すときは、頭の中で相手の反応を先回りしてしまい、「こんなこと言ったら嫌われるかな」と自分を抑えがちでした。

でもあるとき、こう気づいたんです。

「あれ? この遠慮のクセって、過去に“目立たない方が安全”だと思っていたころの名残かも」

それに気づいた瞬間、なんだか胸の中の緊張がふっと緩んで、
「もうその反応は、今の私には必要ないかもしれないな」と思えたのです。

こうして“古くなった自動反応”に気づくことができると、
私たちは「本当はこうしたかった」という選択に、少しずつ近づいていけます。

気づきは、あなたを責めるためのものじゃない

繰り返される感情や反応に気づいたとき、
「またやってしまった」と責める必要はありません。

むしろ、その“気づき”こそが、あなたの中に育ってきた柔らかな変化のサイン。
「もう、この反応に縛られなくてもいいかもしれない」
――そう思えたとき、私たちは少しずつ自由になっていけるのです。

今日からできる、やさしい問いかけ

最後に、こんな問いかけを自分に向けてみてください。

  • この反応は、どんな意味づけから来ているんだろう?
  • これは、かつての私を守ってきたパターン?
  • 今の私にとっても、この反応は必要?
  • もし、新しい意味づけを選べるなら、どんな見方をしてみたい?

「気づく→ 観察する→ 意味を再選択する」という流れを、
今日から、ほんの少しだけ意識してみてくださいね。

あなたの心が、より自由に、やわらかく生きられますように。

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