アドラー心理学研究会 第59回勉強会

180317アドラー心理学研究会代表の佐高葵月代です。3月17日(土)第59回の研究会を無事に終了しました。今回は31名参加、初参加の方は3名でした。ご参加いただいたみなさん、設営準備と受付にご協力いただいたメンバーのみなさん、ありがとうございました。

今月のテーマは、認知論に基づいて「私の思い込み –ベーシック・ミステイクス–」でした。ベーシック・ミステイクスは、「認知のゆがみ」とも呼ばれます。

アドラーは、『人生の意味の心理学』のなかで、

「人間は意味の領域を生きている。われわれは状況をそれ自体として経験することはない。いつも人間にとって意味があるものだけを経験するのである。人間は、意味を離れて生きることはできない。われわれは現実を、常にわれわれがそれにあたえる意味を通じて経験するのである。」

と述べています。言い換えると、目の前の現実を、自分の受け取りたいように受け取っているということになります。なので、同じ体験をしても、まったく違う感情を想起し、それぞれの記憶痕跡として残ることがよくあります。

アドラー心理学の認知論では、「人間は、自分の主観的な意味づけを通してのみ、物事を把握する」といいます。それは認知された主観的世界そのものを言うのでなくて、認知のしかたの構造を言っているのです。その人特有の意味づけのクセ、ものの見かたの偏り具合、自己や自分を取り巻く世界(社会)の解釈の枠組はライフスタイルと呼ばれます。

その人特有のものの見方や考え方、価値観を「私的論理」(プライベート・ロジック)と呼びます。それに対して自分自身と他者にとって、健全で建設的な、現実に即した考え方を、「コモンセンス」(共通感覚)と呼んでいます。

私たちは客観的な外界の出来事に反応しているのではなく、ライフスタイルを通して見た主観的な意味付けに反応しているのです。私的論理のゆがみがひどくなると、ベーシック・ミステイクスが起こりがちです。

今回は、デビッド・D・バーンズの著作から、認知のゆがみの10項目を学びました。

1.全か無か、白か黒か思考 
2.過度の一般化
3.心のフィルター(選択的抽出・心の色メガネ)
4.マイナス化思考
5.理論の飛躍
6.拡大解釈と過小評価
7.感情的決めつけ
8.すべき思考
9.レッテル貼り
10.個人化、自己関連づけ

項目についての詳細は割愛しますが、私たちはこれらのいずれかに偏ることがあっても、自分でハンドルを調整するように、ブレを戻そうとするものです。ただ、どうしても偏ったままになりがちな時に、普段とは違うものの見方をしてしまったり、それにより対人関係に影響が出たりということがあります。

あまり枠組みにはめ込みすぎるのも良くないので、歪んだ時の傾向として参考になるかと思います。これらの項目は、認知行動療法において、セルフモニタリングに使用されています。

今回は、最近感情的になった出来事について、自分のこだわりに気づくワークを行いました。終了後、自分のライフスタイルを知るきっかけになったという方もいらっしゃいました。

札幌のアドラー心理学研究会の、今後の予定です。

第60回 4月21日(土) 中研修室1(2F)
第61回 5月19日(土) 中研修室1(2F)
第62回 6月30日(土) 中研修室1(2F)
https://smacc.jp/adlerian-psychology/schedule/

旭川は、以下の通りです。
第5回 4月8日(日)つきかげホール
第6回 6月24日(日)旭川市市民活動交流センターCoCoDe
https://smacc.jp/asahikawa/

春のアドラー心理学研究会は、じっくり学べる講座が目白押し!
ぜひご参加ください!

○対人関係スキルをアップできる講座「SMILE」
佐高葵月代が講師を務めます。宮村かおりさんが、サブリーダーとして参加します。
https://smacc.jp/course-and-workshop/2018smile/

○4日間でアドラー心理学の基礎を学ぶ「ベーシック講座」
岩井俊憲先生と永藤かおる先生が講師を務めます。
https://smacc.jp/course-and-workshop/2018basic/


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