第117回「アドラー心理学のライフスタイル(認知論)」、「マインドフルネスの全体性を感じるワーク」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2023年1月21日(土)と22日(日・ZOOM)、第117回アドラー心理学研究会を開催しました。今年初の研究会は、札幌近郊の天気が大荒れとなり、数名が雪のために欠席となるほどでした。とはいえ、初参加の方がリアルで3名、ZOOMで1名と、7年ぶりにお越しいただいた方もいて、大いに盛り上がりました。

アドラーはライフスタイルに関して、次の言葉を残しています。

人間は(主観的に)意味づけられた世界に住んでいる。われわれはありのままの環境を体験するのではなく、常に人間にとっての重要さに応じて環境を(意味づけてから)体験する。……人間であるかぎり、意味づけから逃れることはできない。われわれはわれわれの与えた意味づけを通してのみ現実を体験するのであって、現実そのものではなく、何らかの形で解釈された現実を体験するのである。

アドラー心理学では、その人特有の意味づけのクセ、ものの見方の偏り、自己や自分を取り巻く世界を解釈する枠組を「ライフスタイル」と呼んでいます。これは、一般的に理解されている「認知」とほぼ同義です。ライフスタイルは、0~6歳くらいまでの間に形成され、ほぼ原形が完成されるのは10歳前後と言われます。そのため、10歳前後に体験した大きな出来事は、ライフスタイルに大きな影響を与えると考えられています。

今回は、この意味付けのクセについて、ライフスタイルの類型から読み解いてみました。類型の分類は、研究者によっていくつかあるのですが、今回は4つに分類したものを使用します。ライフスタイルを「私が所属するために最も手に入れたいものは何か」「私が最も避けたいものは何か」という側面から理解しようとしたもの。つまりこの分類は、何かの課題に直面し、それを解決するとき、どのような目標を目指して解決しようとするか、どのような状態になったとき解決したと考えるか、どのような状態になりたくないか、という視点からライフスタイルを理解し、分類する方法です。その目標は、以下の4つにまとめられています。

「安楽でいたい」(Aタイプ)
「好かれたい」(Bタイプ)
「主導権をとりたい」(Cタイプ)
「優秀でいたい」(Dタイプ)

それぞれのタイプに優劣がある訳ではなく、長所、短所があります。日常生活では、すべての目標を設定しているようにみえ、どれかひとつに絞りにくいようにみえるものです。ですが、危機的状況や追い詰められた時などは、4つのうちのどれか1つを最終的に選択する可能性が高いと考えられています。

リアル開催では、グループワークで自分のタイプを探った後で、各タイプごとのグループに分かれました。人数はAとDが最も多く、Bが非常に少なかったのが、今回のアドラー心理学研究会Plusの参加メンバーの特徴でした!

タイプごとのグループでのディスカッションは、それぞれに特徴が出ていたように思います。確かに同じタイプ同士だと話は合いますが、中には「いろんなタイプが混在することで、共同体にも幅が出るのでは」という意見もあり、納得です。最後は各タイプの個性の活かし方についてまとめました。

なお今回の類型に関する資料は、2020年6月、アドラー心理学の研究家である鎌田穣先生のワークショップで行った内容を、参考とさせていただきました。

後半は、マインドフルネスの呼吸を使った「かたまりをほぐすワーク」を行いました。「全体性(ホールネス)」を意識したもので、自分の中にある感情や身体の痛みや緊張を、イメージの中で視覚化したり質や量を感じてみるワークです。体験後は「自分の中のネガティブなものを、否定せずに受け止められるようになった」「嫌なものだと思っていた感情が、グレーからピンクに変わった」「身体の不快感がなくなり、むしろ安心感が増加した」などの感想がありました。

今月のまとめです。

  1. ライフスタイル分類は、あくまで枠組みの把握。それぞれの特徴を生かして、より幸せになることが目標!
  2. 類型は、物を持つ場合に、何も取っ手がないと持ちにくいので、とりあえず自分や相手を理解するための取っ手と考える。
  3. ホールネス(全体性)は、自分の中で分離されている部分を統合すること。

次回のテーマは「アドラー心理学の横の関係」、「マインドフルネスと内受容感覚」です。
ぜひご参加くださいね。

2月18日(土・交流プラザ)、2月19日(日・ZOOM)です。
会員にのみ、ZOOMの録画配信をしています。ぜひご利用ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。

 


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