第130回 アドラー心理学とマインドフルネスの視点で考える「これからの未来志向~楽観と悲観の狭間で~」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2月17日(土)と18日(日・ZOOM)、第130回アドラー心理学研究会を開催しました。今月のテーマは、アドラー心理学とマインドフルネスの視点で考える「これからの未来志向~楽観と悲観の狭間で~」です。

実は前回の研究会の後、間もなくして利き手の右手首を骨折してしまいました。幸い手術と入院は免れましたが、1か月近くに及ぶギプスでの固定をしながら、今回のテーマである楽観と悲観について考える羽目(きっかけ?)となった次第です。

楽観主義と悲観主義の違いは、楽観主義は悪いことだけではなく、それ以外にも目を向けることです。過去の辛い体験を乗り越えたことが、自分が前に進むのを助ける力(=自己信頼の力)となり、レジリエンスとなります。人生の困難に対する態度として「どうすることもできない」と諦める悲観主義と、忍耐強く「何をするべきか」を考え、勇敢に立ち向かえる楽観主義があります。アドラーは、両者の差は失敗に対する考え方にあり、それは教育で身につける重要な資質だと指摘しました。

レジリエンスの育成を阻むものとして、失敗したことによる被害者意識や挫折感、自己批判から生まれるネガティブな感情を挙げています。ネガティブな感情は、それを生むネガティブな思考がもとになっています。ネガティブな感情自体は悪いものではないのですが、レジリエンスを高めるにはその感情をいったん受け止めた後、建設的な行動につなげるためのエネルギーに転換する必要があります。

楽観主義者は、性格の発達が全体として真っ直ぐな方向を取る人のことである。
彼〔女〕らはあらゆる困難に勇敢に立ち向かい、深刻に受け止めない。
自信を持ち、人生に対する有利な立場を容易に見出してきた。
過度に要求することもない。
自己評価が高く、自分が取るに足らないとは感じていないからである。

アルフレッド・アドラー『性格の心理学』

劣等感は、現在の自分を過去や未来の自分の姿と比べたり、他者との比較や他者からの評価で発生する感情です。比較することを止め、できない事ばかりを考える事を止め、できることに意識を向けることで劣等感は変化していきます。できないことに直面した時は、①やり方を変える ②今はやらない ③誰かに頼む 手法を検討しましょう。

この3つの手法は、今回骨折して実感したことでした。実は7年前には右肘を骨折し、この時は大怪我で全身麻酔をしての手術と10日ほどの入院を余儀なくされました。骨折した時に真っ先に考えたのは「その時に比べたら、まだ今はマシかもしれない」「あの時、どうやって乗り越えたっけ?」でした。思考での記憶よりも、身体の記憶の方が早く思い出されたのが、不思議でした。例えば、こんなことです。

①やり方を変える
当然、利き手が使えないので、パソコンを使うにもマウスは使えないし、キーボードも打てません。なので、マウスは左手で、入力はキーボードではなく音声入力を活用しました。左手のマウスは驚くほどすぐに使いこなせました。身体が以前使っていたのをすぐに思い出したかのようでした。

②今はやらない
私は1日の決まったルーティンがあって、家事や仕事もそのとおり進むのが快適だと思っていましたが、怪我をすると思い通りに行くことばかりではないので、掃除や仕事は「もう少し回復してからにしよう」「先延ばしできるものは、もう少し後に」と今は右手の治癒に全力を注ぐことにしました。

③誰かに頼む
私は人に頼むよりも自分でやってしまう方が好きなタイプなのですが、ギプスをしている姿を見ると、ほぼ100%の方が優しくしてくれました。(^-^)/ありがとう♪ なので、「安心してお願いしてもいいのだ」と思えるようになり、一番身近な夫を頼ったり、「右手が使いづらいので、○○してもらえませんか」とお願いすることにしました。人に優しくしてもらうことで、脳内ではオキシトシンが出され、共感したり安心できるモードに入ります。けがにも有効ですね。

このように課題に直面した時は、今の状況を少しでも楽観的に考えたり、自分に思いやりを持った態度で接するセルフ・コンパッションを行うことで、脳内ペプチド(脳内ホルモン)のオキシトシン(安らぎや安心感を導き出す)やドパミン(やる気を出す)が出されます。結果的にそれが自分の自尊心を下げず、しかも病気やけがの回復力を後押しするのです。今回のけがも、周りに心配をかけたものの、あと少し経つと自分の中の「乗り越えた記憶」となるのだと思い、またひとつ楽観のスタンプが押せそうです。

グループワークでは、過去の辛い体験を乗り越えたことを、「乗り越えた」視点で語りました。自分のストーリーから自己信頼の力を思い出させ、「自分には能力がある」(アドラー心理学の心理面の目標の一つ)と自覚し、レジリエンスを獲得します。また、他者の乗り越えた体験に共感することで、疑似体験のような感覚を抱き、「もし私が同じ体験をしたとしても、この人のように乗り越えられるかも」と感じます。

この時のポイントは「不幸自慢」にならないこと。乗り越えた体験で、今思い出しても「自分はよく頑張った」「みんなに助けてもらって、乗り越えられた」など、勇気づけられる気持ちがわくことが大前提です。

今月のまとめです。

  1. 楽観主義とレジリエンスの育て方はとても似ている。
  2. 過去に乗り越えたことを思い出し、自己信頼の力を高めよう。
  3. ストレスはすべてが悪い面だけではない。逆境はレジリエンスを育む。
  4. できることに意識を向けるだけでも、楽観主義に近づくことができる。

次回第131回の開催は、3月16日(土・札幌市民交流プラザ)、17日(日・ZOOM)です。テーマはアドラー心理学とマインドフルネスから考える「自分を大切にする技術 ~言葉の習慣~」です。言葉と生き方はとても密接な関係があります。書く言葉、話す言葉、聴く言葉など、いろんなタイプの言葉にも注目してみましょう。アドラー心理学もマインドフルネス(セルフ・コンパッション)も言葉を大切にしています。それぞれの視点で考察します。ぜひ、ご参加ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。


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