アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2021年5月22日(土)と23日(日・ZOOM)に、第97回アドラー心理学研究会を開催しました。今回も広い会場で距離を取っての開催となりました。ZOOMでは、旭川、神奈川、大阪からのご参加もあり、にぎわいました!
今年1月から対面での開催とZOOM開催を並行してきましたが、緊急事態宣言中ということもあり、今回は初めてZOOM参加者のほうが多くなりました。さて、今回のテーマは、「自分と他者、マインドフルネスでの対人関係」です。
アドラー心理学の対人関係
アドラー心理学には対人関係論という理論があります。アドラー自身も「全ての悩みは対人関係にある」というほど、私たちの人生において対人関係は大きなライフ・タスク(ワーク・タスクでもあり、ラブ・タスクでもあり、フレンドシップ・タスクでもあります)です。
相手に対して「あの人が悪い」「あの人がいなければ」という思いは、怒りやイライラ、不安や焦りなど感情が伴います。アドラー心理学では、 相手に対する感情は、何らかの目的追及の道具として形成され、使用されるので、自分の感情が誰に向かって、どんな目的を持っているのかを知ることが大事なのです。
また、ストレスは自然発生するのではなく、精神症状や身体症状と同様に、個人のライフスタイル(認知)とライフ・タスク(課題)との力動的関係の中で形成されます。対人関係の課題に直面した時、私たちは独自のライフスタイルを使って、自己決定性に基づき、ある目的に向かって自分と環境を動かそうと行動します。
対人関係の課題では「課題分離」を用いることで、【自分の】感情的なものが解決できることがあります。課題分離の目標は、課題の所在を理解することで、心の負担を減らし、お互いの課題に責任を持ち、自立することを目指しています。相手の感情に口出ししたり、振り回されたりせず、自分の感情に責任を持つのです。そして、分離するのは課題であって、相手との関係ではないということも、付け加えておきます。
相手が機嫌が悪いのは、相手の課題。何か気に入らないことがあるのなら、きちんと言葉にする必要があります。そして、自分の感情は自分の課題です。その感情で、何を達成しようとしていますか?相手に向けられている矛先は、実は自分自身に向いていませんか?
どんな対人関係であれ、横の関係と共同体感覚は必要です。職場で横の関係を構築するのは難しいとおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。とくに、長年培われた職場の雰囲気などが出来上がっている場合は、変化させることは難しく感じることもありますね。職場では役割としての縦の関係は存在しても、人間としての横の関係は作れます。
課題分離は正しく理解してこそ、効果を発揮する技術です。中級レベルの技法なので、横の関係と共同体感覚をしっかり理解し、使っていきたいものです。
マインドフルネスで捉える対人関係
マインドフルネスでの対人関係では、「相手に対して評価をせずに、この瞬間に意識を向ける」ことが基本的な態度になります。相手に対してネガティブな感情が湧き上がった時に、自分の内面に気付き、自己共感を試みましょう。
自己共感は、自分の感情にそっと寄り添うために「自分が何を考え、何を感じ、どう行動するか」を見つめることです。ここに一貫性があれば、自己効力感を感じ、自己信頼に結びつきます。自分の中に矛盾があると、私たちは心の中がぎくしゃくします。これがきっかけとなって、心身症になるとアドラーも言っています。
苦手な人と接するときに、まずは一瞬立ち止まり、好き嫌いの二極化の「反応」ではなく、他の見方や方法を考える「対応」をすることで、これまでの関係性に変化をもたらすことができます。
今回のまとめです。
- もっとも大事な対人関係は「自分自身」。自己理解は、他者理解への第一歩。
- 「今の、私に、できること」を探して行動していく。自分の課題に集中!
- より良い対人関係には「相互協力」「共感」「平等」「寛容」が不可欠。相手に求める前に、自分から変わる努力と、自分の勇気づけを忘れずに!
次回のテーマは『アドラー心理学の親子関係』、『マインドフルネスで捉える身体の痛み』です。
開催日は、6月19日(土・札幌市民交流プラザ)、6月20日(日・ZOOM)です。
会員のみ、ZOOMの録画配信をしています。勉強会に参加できない方は、ぜひご利用ください。
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