第99回「アドラー心理学のライフタスク」、「マインドフルネスの『思考』とは?」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2021年7月17日(土)と18日(日・ZOOM)に、第99回アドラー心理学研究会を開催しました。

今月のアドラー心理学のテーマは「ライフタスク」です。アドラーは、著書『個人心理学講義』の中で、「心理学的な見地からも、正常な人は、人生の課題と困難がやってきたときに、それに対処するに十分なエネルギーと勇気を持っている」と述べています。

私たちがライフタスクに遭遇した時に、毎回同じ対応をすることもあれば、前回とは違った対応やものの見方をすることもあります。それには、ひとりひとりが持っているライフスタイルが大きく関わっています。ライフスタイルは私たちが人生で培ってきた認知そのもので、物事をどう判断し、どのように行動するかの指針と言ってもいいでしょう。

さて、アドラー心理学のライフタスクには、3つあるとされています。

  1. 仕事(ワーク)のタスク
    家庭や学業、共同体、社会全体に対しての義務や役割の遂行、有益な行動すべてを指します。具体例としては、学業、不登校、引きこもり、家事、親の介護、離婚、転職、部下の指導 などが挙げられます。
  2. 交友(フレンドシップ)のタスク
    身近な人との対人関係で、相互尊敬、相互信頼を元にした協力が問われる課題であり、共同体感覚の発達度を測るものさしともなるものです。
  3. 愛(ラブ)のタスク
    異性関係(性と結婚、同性愛も含む)と家族関係(親子、夫婦、兄弟姉妹)の2つからなる課題です。

相続や離婚問題などは、家族間の課題なので愛のタスクと考えられがちですが、明確な解決像が求められているものに対しては、仕事のタスクとして捉え、クールに迅速に対応することで、その共同体の関係悪化を最小限に防ぐことができます。

いつもなら、この3つのタスクを深掘りするところですが、今回は後期アドラー心理学で追加された、「セルフ(自己)・タスク」と「スピリチュアル(精神世界/霊的)・タスク」の2つのタスクを取り上げました。とくに、セルフ・タスクのサブタスクである①生存 ②身体イメージ ③意見 ④評価 をじっくり学んでみました。

コロナ禍になってから、セラピーの相談事が、対人関係や仕事の悩みなどから、自分の人生や自分自身についての悩みに変化してきているのを感じています。外側に向いていたベクトルが、自分軸に向いているのかもしれません。

このようなことを踏まえて、講義とワークをしたところ、メンバーもそれぞれ「刺さった!」という方が多かったです! とくに「③意見」は、私は自分をどう思うか?というもので、ライフスタイルの重要な構成因子「自己概念」であり、安全感覚や自己評価、優越性、劣等性などの基盤となるもので、多くの方が向き合うテーマとなりました。

ライフタスクについては、ハロルド モサックとミカエル・マニアッチ(Harold H. Mosak、Michael P. Maniacci)著『A Primer Of Adlerian Psychology』(『現代に生きるアドラー心理学-分析的認知行動心理学を学ぶ-』)に詳細が記されていますので、ご興味のある方はぜひ、ご一読を!

後半は「マインドフルネスの『思考』とは?~ 脳に空間づくりをしよう ~」です。しかし前半が盛り上がり過ぎて、時間が押してしまいました。

思考のスピードはとても速く、私たちは1日に8万回以上も思考していると言われています。そうなると、私たちの脳は言葉でいっぱいになります。始終、頭の中でツイートが繰り返されているようなものです。それに加え、テレビ、ラジオ、パソコン、スマホ、SNSなど、いたるところに情報や言葉があふれ、それに対して判断、ジャッジを繰り返すため、「いっぱいいっぱい」な状態とも言えます。

とくに今は、コロナのニュースが多いので、不安や焦り、怒りを感じる機会が増えているようです。取りこむ情報が多ければ多いほど、頭の中は言葉に溢れます。どんな情報を取り込むかの智慧を養うことも必要ですね。

今月のまとめです。

  1. ライフタスクを「悩み」と捉えず、解決し成長するチャレンジと捉える。
  2. ライフタスクはライフスタイルと関わり、行動を変えていく。
  3. 感情は、思考の後から起こるもの。感情を責めず思考のクセに気づくこと。
  4. 情報は心の栄養にも毒にもなりうる。正しく摂取する手段を意識しよう。

「思考」はとても奥深いので、今回はPART1とし、次回はPART2に続きます!

次回のテーマは「アドラー心理学で培う心の平安とは」、「マインドフルネスの『思考』PART2」です。PART2では、セルフトークと認知モデルを取り上げる予定です。

開催日は、8月21日(土・札幌市民交流プラザ)、8月22日(日・ZOOM)です。
会員のみ、ZOOMの録画配信をしています。勉強会に参加できない方は、ぜひご利用ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。

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