アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2022年1月15日(土)と16日(日・ZOOM)、第105回アドラー心理学研究会を開催しました。道内から札幌に出張中だったメンバーが、前日からの大雪でJR不通で帰れないというアクシデントに遭いながらも参加してくれました。1年以上ぶりに会えた嬉しさで、盛り上がりました。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
今回のテーマは「アドラー心理学の自尊心」と「マインドフルネスで穏やかな心をつくる~呼吸法の実践~」です。昨年のアンケートでも、「自尊心」に対する興味が高いことが判明しました。自尊心というと、つい身構えてしまう方もいるようですが、アドラー心理学では「自尊心とは、自分を大切に思う気持ち。ありのままの自分を認め、受け入れること。自分は価値のある人間だと感じること。不完全であっても、今の自分にOKと言えること」と捉えます。自尊心とは、すべての人に備わる価値なのです。
自尊心は ①自分らしくあるかどうか ②他者との比較 ③他者からの評価 によって作られると考えます。②と③に集中すると、競争や競合に偏り、優越コンプレックスを作りかねません。私たちは誰と比較し、誰から評価されたいのでしょうか。他者軸の比較や評価だけでは、すでに自分が成し遂げているにもかかわらず、自己信頼ができないこともあり得ます。「自尊心が傷つけられた」と被害者意識を持つことになりかねません。自尊心は、ほんらいは内側の「わたし」から作られるもの。不完全な自分をいったん受け入れ、自己信頼を回復することで、勇気が培われます。
勇気づけの前に、勇気くじきを止めるのと同じく、自尊心を回復するには自己批判をやめることを心がけましょう。過度な自己批判は、心に常にストレスがかかる状況となり、ストレス防御システムが作動します。それが高じるとストレスホルモンが過剰に分泌され、血圧や血糖値の上昇、免疫力の低下、うつ病、不眠症などの精神疾患、生活習慣病などのストレス関連疾患にかかる危険が生じる可能性もあります。
自分に対して、できないことや足りないことばかりに注目して、減点ばかりしていませんか? 不完全であることは、成長の過程である証。いきなり変わろうとせず、「今の私から、始めてみよう」という気持ちが、自己受容の第一歩です。
後半の「マインドフルネスで穏やかな心をつくる~呼吸法の実践~」では、瞑想+言葉を使った「やすらぎの呼吸法」を実践しました。心が温かくなる言葉は、身体に「安心・安全」というモードを作ります。身体が落ち着くと、温かく感じたり呼吸が深まったり、眠くなったりします。身構えることなく「わたし」に立ち返ることから、継続することで自尊心のUPにもつながる呼吸法です。後日談として、実践している方から「寝つきが良くなった」「中途覚醒が減った」という嬉しい報告もありました。※個人の体験で、効果の保証をするものではありません。
今月のまとめです。
- 自尊心を大切にするには、外側に向いている意識を内側に向けてみよう。
- 自己批判が過ぎると、自尊心どころか身体の機能まで損なうこともある。
- 言葉+身体感覚+呼吸の実践で、自尊心UPにつなげよう。
次回のテーマは「アドラー心理学の自己決定性」「陰と陽のセルフ・コンパッションのワーク」です。
開催日は、2月12日(土・札幌市民交流プラザ)、2月13日(日・ZOOM)です。
会員のみ、ZOOMの録画配信をしています。勉強会に参加できない方は、ぜひご利用ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。
今年もアドラー心理学とマインドフルネスを並行して学ぶことで、勇気づけと心身の健康増進をしていきます!
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