第108回「アドラー心理学の目的論」「マインドフルネスの身体感覚へのアプローチ」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2022年4月23日(土)と24日(日・ZOOM)、第108回アドラー心理学研究会を開催しました。あの大雪があったとは思えないほど、この週末は北海道内は各地で桜の開花宣言が聞かれました。札幌も咲き始めたと思ったら強い風が!花散らしにならないか心配です。

さて、今回のテーマは「アドラー心理学の目的論」と、後半は「マインドフルネスの身体感覚へのアプローチ」として呼吸法を行いました。

目的論は言わずと知れた、アドラー心理学の基本前提の大切な理論です。20世紀の心理学では「人間の行動にはすべて理由がある」という共通する考えかたが主流です。一般に「理由」=「原因」と考えられています。つまり「人間の行動にはすべて原因がある」と考えるのが、多くの心理学の定説です。この理由=原因と考えることを「原因論」と呼んでいます。

アドラー心理学では、「理由」を「原因(過去の事)」ではなく、「目的(未来の事)」と考えるところです。「人間は目的に向かって行動する」というのが、アドラー心理学の「目的論」です。

受け入れがたいと思われる不適切な行動の多くは、目的がポジティブであっても、その目的を達成するための手段としての行動が不適切であることが多いのです。目的がわかれば、行動の理由がわかる。つまり、行動の理由がわかれば、対処できると考えてみましょう。

23日の勉強会では、各グループでお困りの「不適切な行動」の事例を1つ取り上げて、相手の行動の目的を探る練習を行いました。つい、不適切な行動を止めさせたり相手を変えたくなることもありますが、あくまでも行動の目的からどう対処できるかの検討です。

24日のZOOMでは、佐高から事例をひとつ提示して、それについてグループに分かれて検討しました。それぞれのライフスタイルで事例を見るので、いろんな視点が出てきます!
でも、あくまでも解決するのではなく、目的を探るのです! 原因探しではなく、未来に目を向けて目的を意識することで、課題の「景色」が変わって見えることもあります。

後半の「感情がもたらす心身の緊張へのマインドフルネス」では、簡単な呼吸法を実習しました。中長期的に続く感情は「気分」へと変化し、常にその感情が心を覆いつくしているような感覚になります。それが当たり前になってくると、心身が感じる緊張にも鈍くなりがちです。ネガティブな感情を生みだす思考のクセ:例えば「どうせ無駄だから」「私がやってもうまくいかない」「なぜ私ばかり苦労するのだろう」「あの人のせいで不幸になった」など、自己批判や自己否定を含むものは不安や焦り、怒りなどのネガティブな感情を引き起こします。

よく「身体は食べているものでできている」と言いますが、心もどんなものを取り入れるかでコンディションが変わってきます。言葉は心の栄養です。きちんと選んで摂り入れたいものですね!

今月のまとめです。

  1. 原因ではなく、つねに感情や行動の目的について考えるのが、目的論。
  2. 行動主の気持ちだけではなく、相手役(あなた)の気持ちを大切にすること。
  3. 不適切な行動を繰り返す人は、勇気がくじかれているので、勇気づけが必要。

次回のテーマは「逆引きアドラー(事例検討)『こんな時、アドラーの何を使う?』」で、実際の事例でアドラーの技法や基本前提の何を取り入れたらよいかを検討します。昨年も行って大変好評だったテーマです。
後半は「マインドフルネスで、思考の自動操縦をストップ!」です。グルグル思考してしまう方、思考が暴走して疲れてしまう方は、お見逃しなく!

開催日は、5月21日(土・札幌市民交流プラザ)、5月22日(日・ZOOM)です。
会員にのみ、ZOOMの録画配信をしています。ぜひご利用ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。


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