第110回「アドラー心理学の共同体感覚」「マインドフルネスで、怒りに負けない脳づくり」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2022年6月18日(土)と19日(日・ZOOM)、第110回アドラー心理学研究会を開催しました。今月は、毎年研究会で製作しているTシャツをお渡しする日! 始まる前からみなさんニコニコ顔でした~。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。

今年はバーガンディとライトベージュの2色です。タイトルは「COMPASSION」。自分と他者に対して深い思いやりを寄せるという意味で、マインドフルネスとともに、研究会で学んでいるテーマです。そしてタイトルの上には「SOCIAL INTEREST(共同体感覚)」と入れています。今、世界中に必要な要素だと思います。

小さく添えられている文字は、アドラーの言葉です。

共同体は家族だけではなく、国家、人類にまで拡大する。
さらには、動植物、無生物にまで拡大し、
ついには、宇宙にまで広がるのである。

The community extends not only to the family
but also to the national and humankind.
Furthermore, it expands to animals, plants,
and inanimate objects, and finally to the universe.

人と人、そして国家と国家へと思いやりと繋がり感覚が広がることを、願ってやみません。
今年もTシャツのデザインをしていただいた、タカハシヒロヒコさん、ありがとうございました。そしてタイトルに共感して、たくさん手に取っていただいた全国の仲間たちにも、感謝します。ありがとうございました。

19日のZOOM開催には、北陸エリアでアドラー心理学の勉強会を定期的に開催している、野手 貢さんにご参加いただきました。ご縁があって、時折情報交換をさせていただいている中で、ご都合をつけていただきました。現地での勉強会のご様子なども伺うことができて、大変楽しい時間でした。この日は、富山県、大阪府、神奈川県、旭川市、札幌市と、全国津々浦々からのご参加をいただきました。ZOOM参加の皆さんも、ありがとうございました!

さて、今月のテーマは「アドラー心理学の共同体感覚」、「マインドフルネスで、怒りに負けない脳づくり」です。Tシャツの完成に合わせて、タイムリーですね。

共同体感覚は「勇気づけ」と並んで、アドラー心理学の中心的思想です。共同体に対する所属感、共感、信頼感、貢献感などを総称した感覚や感情のことを言います。アドラー心理学では、共同体感覚は精神的な健康のバロメーターとされ「幸福」には欠かせない要素です。

これら5つの要素は、言葉の意味は分かるけど、身に付けるのって大変じゃない?ましてや人にこれを身に付けてもらうのにはどうしたら?と思うことありますよね。今回は、3つの提案をしています。

  1. 横の関係を意識する
    横の関係は、相手の立場というより、存在との位置関係を横に保つという意味合いです。たとえ、社長と平社員であっても、会社という共同体においては同じ仲間です。地位や責任においては縦の関係もあるでしょう。しかし、会社の発展、心地よく仕事をする環境を目標にする同じ仲間であるという視点が大事なのです。
    家族においても、子どもと親は経験の長さの違いや、教育の義務はあるかもしれませんが、やはり家庭という共同体においては仲間なのです。
  2. 自己批判による「勇気くじき」を止める
    勇気づけの前には勇気くじきを止めるというのが鉄則です。自己批判は、自分へのダメ出しです。百害あって一利なしの行為です。自己批判で「可哀そうな私」を演じるのは、やめましょう。
  3. 積極的に自己勇気づけを!
    私たちは自分より他者を優先して勇気づけをしようとします。ですが、それよりも大切なのは自分自身が勇気づけられていること。勇気づけとはなにか、勇気づけられている状態はどんな感じなのかが自分で分かったほうが、相手に伝わりやすいですよね。

自分が所属している共同体での自分の立ち位置や責任を含め、心地よさなどについて、グループワークで検討しました。「自分に価値があると思えるとき、人は勇気を持てる」というのは、アドラーの言葉です。その価値は、人から与えられるもの(他者からの評価)や優越感(他者との比較)だけから得られるものではありません。自分らしく、心地よく自分の人生を生きているかどうかも、自分の価値を高めます。

後半は、「マインドフルネスで、怒りに負けない脳づくり」というテーマです。「怒り」の一つの理由として「理想(期待、要望、欲求)と現実とのギャップ」が挙げられます。スポーツの試合で自分がミスをしてしまったり、地下鉄や電車内で相手のマナーに腹が立つ、何度言っても子どもが言うことを聞かない!などなど。怒りは、このように自分が「こうあるべき」と思っている理想が裏切られた時に感じます。自分に対しても、他者に対しても感じる感情ですね。

マインドフルネスの立場で、怒りの感情が起こるプロセスについて説明をし、脳で起こっている現象を踏まえて、怒りに対処するコンパッションのワークを行いました。今後も、マインドフルネスのパートでは、コンパッションの内容も盛り込んでいきます。

今月のまとめです。

  1.  共同体感覚は、勇気づけとセットで身につけるべき、アドラー心理学の思想。
  2.  身近な共同体がうまく機能しないときは、別の共同体で自分をリセットする方法を考えよう。
  3.  怒りは思考のクセから生じている「状態」。思考のクセに気づき認知の変容を図るには、自己勇気づけやセルフ・コンパッションの実践が有効。

次回のテーマは・「アドラー心理学で考える対人関係 ~職場編~」、「コンパッションのワーク『中核的価値』を知る」です。今回の研究会でも、職場における共同体感覚にお手上げ、というご意見もありました。在宅勤務から元のオフィス勤務に戻って、対人関係に違和感を感じているという声もありました。これらにどう対処したらよいのか? 次回はアドラー心理学の対人関係論を、丁寧に紐解きます。

後半はコンパッションの要素の中でも非常に重要な、中核的価値について触れていきます。アドラー心理学の「究極目標」に近い考えです。「私が心から求めるもの」に触れていきましょう。

開催日は、7月16日(土・札幌市民交流プラザ)、7月17日(日・ZOOM)です。
会員にのみ、ZOOMの録画配信をしています。ぜひご利用ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。


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