第111回「アドラー心理学で考える対人関係 ~職場編~」「コンパッションのワーク『中核的価値』を知る」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2022年7月16日(土)と17日(日・ZOOM)、第111回アドラー心理学研究会を開催しました。この日は「1」がぞろ目で並ぶ「111」回目の開催日。ポッキーの記念日(11月11日)にちなんだわけではありませんが、リアル開催の参加者にはポッキーを配布しました♪
今回はリアル開催もZOOMも、アドけんTシャツを着て来てくれた方も多く、華やぎました!みなさん、ご参加いただき、ありがとうございました。

今月のテーマは「アドラー心理学で考える対人関係 ~職場編~」「コンパッションのワーク『中核的価値』を知る」です。前半は、3月のテーマだった「横の関係」から引き続いた対人関係がテーマです。横の関係の復習と対人関係にはよく登場する課題分離にも触れました。

アドラー心理学は、対人関係において協力的コミュニケーションを大切にします。感情を振り回さず、相手に伝わる言葉や態度で気持ちを伝えることで、お互いの関係性が深まり、横の関係に近づけます。横の関係とは、アドラー心理学の基本前提にこそ含まれていませんが、非常に重要なキーワードです。簡単に言うと、年齢や性別や役職などで自分と他者を比較せずに、横並びの存在として意識することです。相手を支配したい欲求や怒りをぶつけるときは、そこには縦の関係が存在します。

横の関係の特徴は、「お互いに」次のことが実践できているかがポイントになります。

  1. 尊敬すること(お互いの存在を認め合うということ)
  2. 信頼すること(相互信頼)
  3. 協力できること(相互協力)
  4. 共感すること
  5. 理性的に問題を解決すること
  6. 主張的であること(あくまでもアサーティブに)
  7. 平等であること
  8. 寛容であること

相手とのコミュニケーションの葛藤から抜け出すには、次のことも考えてみましょう。

  1. 本来のコミュニケーションの目的を思い出す。
    権力闘争や感情的になると、職場や組織のほんらいの目的が棚上げになってしまいます。何を協力して成し遂げるのかを、思い出しましょう。
  2. 勝ち負けから降りる。相手のペースに乗らない。
    権力闘争から降りるのは、負けることではなく、勇気ある撤退です。
  3. ライフスタイルは千差万別。違いを嫌いにならないように。
    互いの違いを認め、「面白い人だなぁ」「私にはできないことをやるんだなぁ」と好奇心を持って見てみる。
  4. 一時の感情に流されず、長期的視点で考える。
    「これまでも仲間、これからも仲間」であることを思い出す。
  5. 相手の立場から状況を考えてみる。
    「もし私があの人の立場だったら・・・?」という視点で状況を見てみます。
  6. 相手の心は変えられない。今変えられるのは、自分の考えと行動のみ。
    できないことにエネルギーを注ぐことで、気力も勇気も枯渇しないよう気をつけて。

アドラー心理学では、人間の行動の目的は所属感を得ることであると考えます。職場で自分なりの貢献感をもち、居場所を見つけ出せれば、ストレスを減らして仕事が可能となります。ただし相手に協力を迫るのではなく、あくまでも相手に対して、自分からできる協力(貢献)を考えます。他者の行動を変えようとするのは、他者に対して支配的になりやすく、権力闘争を引き起こし事態をさらに悪化させます。相手ではなく、自分の認知(ライフスタイル)を変える努力をすることも必要かもしれません。できないことではなく、「今の、私に、できること」に集中します。

研究会のメンバーは、対人関係についてはだいぶ客観視できている人が多いように感じました。ひと皮むけているっていうのかな。「こんな人たちとなら、仕事してみたい」とふと感じました。ZOOM開催では、自分のライフスタイルについて語っていただいたりと、とても深い対話が出きました。リアル開催とZOOMは、テーマも資料も同じなのに、メンバーが違うことでまったく別の流れで展開することも多く、エキサイティングです。

後半は「コンパッションのワーク ~中核的価値を知る~」です。セルフ・コンパッションのテーマでも中心となっている「中核的価値観」にアプローチするもので、自分にとって本当に重要なこと、何に価値を置いているか、何を信じているかという奥深いところにあるものを自覚するためのワークです。自分の人生を「家」に見立ててイメージを広げていきます。家(自分)の土台、窓から見える景色などを自由に設定し、イメージワークの中で繰り広げます。「耐震構造は?」「隣近所との付き合いは?」など、現実的なものは抜きにして(笑)。このワークがうまくできると、本当の自分の価値を知ることで、価値観から外れた生き方にさ迷い出たときには、戻れるように軌道修正しやすくなります。

自分が中核的価値観に沿った生き方をしているときは、私たちは自由を感じたり、ゴキゲンでいられます。いっぽう、誰かにコントロールされていると感じたり、自分を卑下しているときは、この世界における自分の在り方や、他者からの扱われ方に腹を立てていることがあります。

子どもの頃は好きなものを好きと言えたり、嫌なことはやらないと言える自由がありました。大人になるとそれらは「わがまま」「自分勝手」とされ、私たちは我慢したり他者を優先するようになり、ほんらいの価値を胸の奥にしまいこんだのかもしれません。中核的価値は、アドラー心理学の究極目標と同義です。漠然としたイメージだけではなく、言葉にすることで自分の人生のミッションをより身近に感じられると思います。価値観に沿った生き方をしているかどうかは、今、ゴキゲンに生きているのを実感できているかでわかります。

今月のまとめです。

  1. 協力的コミュニケーションの第一歩は自分から!
  2. 職場では「居場所」づくりと「今の、私に、できること」に集中してみる。
  3. 人の機嫌を気にするより、自分のゴキゲンに集中することも課題分離のひとつ。
  4. 人生には、一貫した価値(ミッション)が存在している。

次回のテーマは「アドラー心理学の未来志向」「マインドフルネスで、幸せのスイッチを自分の手に!」です。過去に原因を求めず、こうからどうするか未来に重きを置き、楽観主義で生きるにはどうしたらよいかを、考えます。後半は、マインドフルネスのワークを通して、不幸になるのも幸せになるのも自分次第というのを体感してみましょう。

開催日は、8月20日(土・札幌市民交流プラザ)、8月21日(日・ZOOM)です。
会員にのみ、ZOOMの録画配信をしています。ぜひご利用ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。


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