第118回「アドラー心理学の横の関係」、「マインドフルネスと内受容感覚」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2023年2月18日(土)と19日(日・ZOOM)、第118回アドラー心理学研究会を開催しました。2月も後半となり、札幌も春らしい日が増えてきました。18日は3月並みの暖かさで、雪も降らずに遠方からの参加者の足にも影響が出ず、ホッとしました。

今月の前半のテーマは、「アドラー心理学の横の関係」です。アドラー心理学を学べば学ぶほど、横の関係が重要な要素だと思うようになりました。アドラー心理学の立場としての「横の関係」は、このように捉えます。

  • 横の関係とは、国や思想や年齢や性別が異なっていても、相手が人間である限り、対等の仲間である。
  • すべての人には居場所がある。
  • 役割や責任の違いを認めても、人間の尊厳に違いないことを受け入れ、対等の関わりを持とうと努力すること。
  • 横の関係は相手を支配しようとしない、平等で対等な関係。

つまりは、共同体の人々を敵とは思わず、味方や仲間だと思えるように努力することが対人関係における横の関係の構築の基本です。しかし現代社会では、競争や優越の保持のために、自分のステイタスを守るのに必死な方も多いでしょう。そんな時に、私たち自身の中に「縦の関係」が芽生えます。

ライフスタイルの自己概念(今ある自分)と自己理想(こうあるべき自分)との間で、大きなギャップができている場合、そこには劣等感が生じ、あるべき自分が今の自分を批判することで、縦の関係ができやすくなります。橫の関係は、他者との間だけではなく、自分自身との関係にも存在します。

他者と横の関係を求めるのであれば、自分の中に横の関係を作るべく、共同体感覚の育成と自己勇気づけが必須となります。私には能力があり、役に立てると思えることは、貢献感の形成になります。人々は私の仲間だ、そして自分の居場所があると思うことで、所属感の形成ができます。不幸や課題を、誰かや環境のせいにせず、自立することは、自己決定性と自己責任を学ぶきっかけとなります。社会と調和して暮らすためには、私的論理を掲げるのではなく、相手とのすり合わせができるように共通感覚の育成もしなくてはいけません。

このように、シンプルで基本的なアドラー心理学の概念を、常に自らが実践することで、ようやく相手との関わり合い(対人関係)に一歩踏み出すことができるのではないでしょうか。他者と横の関係が築きにくいと思っている方は、まず自分の中に横の関係を作ってみてはどうでしょう。

後半のテーマは、「マインドフルネスと内受容感覚」についてです。最近、内受容感覚と感情の関りが注目されています。内受容感覚とはいわゆる「身体感覚」のこと。「だるい」「お腹が空いている」「満腹だ」「体調が良い」「体調がよくない」など、身体の内部にはセンサーが張り巡らされ、絶えず全身をチェックしています。

マインドフルネス瞑想やボディスキャンでは、内的・外的経験に対してオープンマインド(偏見を持たずに好奇心をもって接すること)を意識します。呼吸に意識を向ける「今ここ」に注意向けることは、内受容感覚の気づきを高め、身体の緊張や気分を探知するのを助けます。

訓練を続けることで、不快感に対しても注意を維持して観察ができるようになると、無意識に繰り返されてきた不適切に条件づけられた反射的反応をより適応的な対応へ変化し、内受容感覚や感情、思考が常に変化するものであることへの気づきを促します。

リアル開催では、メンバーの内受容感覚と感情が結びついた体験をグループワークでシェアしました。ZOOM開催では短時間のボディスキャンを行いました。ボディスキャンの後、耳鳴りと頭痛を抱えていた方が改善されました。

このようなことはボディスキャンを行っているとよくあります。私も何度も体験しました。症状が改善あるいは消失するのは、そこにある緊張に気づき、緩め、手放したときに起こるようです。もう緊張する必要がなくなると、それに付随する感情も要らなくなります。そうすると、身体は症状を作る必要がなくなるので、消えていきます。

これは、あくまでも、感情と内受容感覚が結びついている症状に限ります。がんや感染症などにまつわる、危険な痛みやしびれは対象外ですので、あらためて強調しておきます。

今月のまとめです。

  1. 横の関係はアドラー心理学の様々な理論や技法に必要不可欠な要素。
  2. 高すぎる理想は、自分の中に梯子を作ってしまうこともある。横人間になろう!
  3. 内受容感覚を磨くことで、心と身体の繋がりができる。

次回のテーマは「アドラー心理学の楽観主義」と「自己批判へのセルフ・コンパッション」です。
ぜひご参加くださいね。

3月18日(土・交流プラザ)、3月19日(日・ZOOM)です。
会員にのみ、ZOOMの録画配信をしています。ぜひご利用ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。


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