【12月】江戸時代に説かれた感情のコントロール法

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smaccのヨーガ・セラピスト 佐高 葵月代です。
11月は雪が降らないなぁと思っていたら、札幌では2日間で46センチもの雪が降り、60年以上ぶりの記録となりました。
油断して、テラスに置きっぱなしにしていたデッキチェアーを、雪の中から掘り起こす羽目になってしまいました・・・。みなさん、お元気ですか。

さて、今月は気持ちの持ちようについて触れてみたいと思います。

江戸時代の儒家である貝原益軒が著した『養生訓』は、中国の漢方医学書などから日常生活に役立つ内容を集め、貝原益軒の知識を加えて書かれた健康生活の指南書のような内容です。

この中で触れられている七情の欲をご紹介します。七情の欲とは、仏教では喜・怒・哀・楽・愛・悪・欲のことを指し、礼記(儒教の経書の一つ)では、喜・怒・憂・思・悲・恐・驚 の感情のことを示します。つまり、過度に

①調子に乗らない
②怒らない
③憂いない
④思い患わない
⑤悲しまない
⑥恐れない
⑦驚かない

ことが、心の健康を保つというのです。中でも、怒りと欲は人の「徳」を傷つけるものと考えられ、元気を損なうとされています。これらを意識することが感情のコントロールに繋がるというのでしょう。

昨年、蓮村誠先生が出版された『新釈 養生訓: 日本人が伝えてきた予防健康法』では、アーユルヴェーダの健康観との対比が記されており、たいへん興味深い内容でした。

アーユルヴェーダでも、怒りはピッタ(火の質:熱いエネルギー)を乱し、過度な欲はカパ(水の質:冷たいエネルギー)を乱し、どちらも元気の素であるオージャスを減らすとされています。

自分や他者に向けられた強い怒りは、心のみならず身体にまで影響を及ぼします。そして欲が増えることで競争心をあおったり、依存的になったりすることもあります。

感情は悪いものではないのですが、七情のいずれかが大きくなると要注意、ということを言っているのだと思います。

さらに11の「少なく」保つことについても養生訓では触れています。
①食を少なく ②飲むものを少なく ③5つの味の偏りを少なく ④色欲を少なく ⑤言葉を少なく ⑥事を少なく⑦怒りを少なく ⑧憂いを少なく ⑨悲しみを少なく ⑩思いを少なく ⑪寝ることを少なく

の11項目です。暴飲暴食を避け、偏った食べ物を避け、心穏やかに、オーバーワークを避けて、惰眠を貪らない・・・というように解釈しています。まさに生活習慣へのアドバイスですね。

現代社会ではついついスピーディで便利なものに走りがちですが、自分の時間は逆にどんどん減っているような気がしませんか。貝原益軒が生きた江戸時代の書を読んでみると、生活の質や価値について考えさせられます。

参考:蓮村 誠著 『新釈 養生訓: 日本人が伝えてきた予防健康法』

 

慌ただしい12月ですが、こんな時こそマインドフルネスを意識して、自分に思いやりを持つ時間を増やしましょう。簡単にできる気持ちの切り替え方をご紹介します。

  1. 目を閉じて椅子に座ります。
  2. ゆっくり鼻から息を吸って、鼻(または口)からゆっくり息を吐くのを、7回ほど繰り返します。
  3. その時、座面に触れているお尻や腿の裏の感覚、床に着いている足の裏の感覚に、少しの間意識を向けます。

さあ、目を開けてみてください。どんな感じがするかは、やってみてのお楽しみ!

みなさんも、風邪に気をつけて、元気に冬が楽しめますように!

 


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