アドラー心理学研究会代表の佐高葵月代です。5月19日(土)第61回の研究会を無事に終了しました。今回は27名参加、初参加の方は1名でした。ご参加いただいたみなさん、設営準備と受付にご協力いただいたメンバーのみなさん、ありがとうございました。
今月のテーマは、「目的論から理解する行動!」でした。
アドラー心理学では、「理由」を「原因(過去の事)」ではなく、「目的(未来の事)」と考えます。「人間の行動にはすべて目的がある」というのが、アドラー心理学の基本前提であり、これを「目的論」とよびます。
人間は原因によって後ろから押されて生きているのではなく、みずから目標を設定して、それを追求して生きていくと、アドラー心理学では捉えます。何かの行動の理由を解明しようとすると、目的(何のために)を意識せず、原因(なぜ)ばかり考えがちです。
目的論は、人間行動を意思のある営みとします。ある原因が短絡的にある結果を招くと考えるのは、自然現象や出来事には有益ですが、人間行動には、物理法則とは違った、その人特有の意思が存在すると考えます。つまり、自分の目的に沿った行動をとっている=自分が今あるのは、自分で選択した結果という見方をするのです。
目的論では、人間は過去にどんなことがあったとしても、未来の目標に向けて現在の境遇を主体的に選び取ることができる、と考えます。
今回は、自分や周りで原因論に陥っているケースや、乗り越えて目的論になりつつあるケースなど、グループで考えました。自分が病気を抱えていたり、親との関係性で目的論にしていくには、難しいという意見もありました。
私自身も、周りが原因論だらけなのに、自分が目的論で考えて行動することに、最初違和感を感じたこともありました。
しかし、「この人は、どんな目的でこの行動をとっているのか」とか「自分の感情は何に向かって、誰に向けて使っているのだろうか」とふと「立ち止まる」ことで、今まで自動的に流されていた思考にブレーキをかけて、別の見方ができるようになりました。
アドラーは、「重要なことは、個人の行動の文脈を理解することである。すなわち、その人の全生活の方向を決定する、個人的な人生の目標を理解することである。この目標がわかれば、ひとつひとつの行為の背後に隠された本当の意味を理解できるようになる」と言っています。個人の目標追求にはその人特有のクセがあり、それをアドラー心理学では「ライフスタイル」といいます。
自分のライフスタイルを自分で分析しても、結局は自分の頭の中での展開になることもあります。
客観的な視点を持つためには、対人関係の中で自分のライフスタイルを見つめなおしてみることで、主観的な見方が少し変わると思いました。
勉強会の後半では、タカハシヒロヒコさんの「私とアドラー」を発表してもらいました。
タカハシさんには、アドけんTシャツや缶バッチ、去年の50回開催記念誌など、さまざまなデザインやイラストを提供していただいています。
当会では、アドラーの著書や関連書籍だでではなく、他の著者の考えも紹介しながら、アドラー心理学の共同体感覚や勇気づけについて展開していくのですが、読書家のタカハシさんには、その点を評価していただきました。
タカハシさんは参加されてから4年、その間にいろんな勉強をしながら、アドラーを学んでいるということが垣間見れました。研究会では重鎮的な存在です!
タカハシさん、発表いただき、ありがとうございました。
そして、今回は2年ぶりに「私のお勧めアドラー本」と題して、メンバーがお勧めのアドラーとアドラー関連の書籍のアンケートを実施しました。前回は『嫌われる勇気』を推す方がダントツでしたが、今回はイイ感じに広がりを見せていたように感じました。集計したリストは、次回の研究会で資料として配布するほか、ブログでもご紹介する予定です。
札幌のアドラー心理学研究会の、今後の予定です。
第62回 6月30日(土) 中研修室1(2F)
第63回 7月21日(土) 中研修室2(2F)
第64回 8月18日(土) 中研修室2(2F)
https://smacc.jp/adlerian-psychology/schedule/
旭川は、以下の通りです。
第6回 6月24日(日)
第7回 8月26日(日)
旭川市市民活動交流センターCoCoDe
https://smacc.jp/asahikawa/
○4日間でアドラー心理学の基礎を学ぶ「ベーシック講座」も参加者を募集中です。
岩井俊憲先生と永藤かおる先生が講師を務めます。
勇気の伝道師 岩井先生と、パワフルな永藤先生から生で学べる貴重な時間です。ぜひ、この機会にご参加ください。
https://smacc.jp/course-and-workshop/2018basic/
みなさんにお目にかかれるのを、楽しみにしております!
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