アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2021年4月17日(土)と18日(日・ZOOM)に、第96回アドラー心理学研究会を開催しました。今回のテーマは、「勇気づけとセルフ・コンパッション」。アドラー心理学とマインドフルネスの大きな共通点がテーマだったので、気合が入ります。
アドラー心理学における「勇気」とは、困難を克服する活力のことです。他者に対する勇気づけと、自分に対する勇気づけがありますが、まずは自分の勇気づけをしていきます。勇気を失い殻に閉じこもっている時、私たちはできないことや、ないものを理由に、前に進めないことがあります。そんな時、「自分にはできる」「前に進む力がある」ということを思い出させ、生産的に物事を考えるよう働きかけることが、自分への勇気づけです。
自分に向けての勇気づけの態度は、次の3つが必要です。
- 自己信頼・・・自信がない時や臆病になる時など、自分を信じる強い気持ち。
できていないことではなく、できていること、今自分に備わっているリソースに注目します。 - 尊敬・・・自分を大切に思う気持ち=自尊心のこと。不完全でも、今の私でOK。
世界中の誰も自分のことを見てくれなくても、自分自身だけは、自分の親友(心友)でいるような気持で。 - 自己共感・・・自分の思考と、言葉や行動は合っているかな? 心の声に耳を傾けてみよう。
嫌だと思っていることを、我慢しながら嫌々やり続けると、私たちは自己効力感を失います。結果、自分のやっていることを信じられなくなり、自己信頼ができなくなるという、悪循環に陥ります。
コンパッションは、マインドフルネスの重要な構成要因で、表裏一体の概念といっても良いでしょう。一般的には「思いやり」と理解されています。思いやりの対極の感情は、怒りです。私たちは怒りのコントロールに注目しがちですが、思いやりや自分への優しさ、慈しみの気持ちを増やすことにこそ、取り組むべきだと考えます。
自分への優しさは、自己批判の反対の概念です。アドラー心理学の、ありのままの自分を認め、不完全な自分にOKと言える勇気づけの態度「尊敬」と、自分の心に耳を傾ける「共感」にあたります。自分を甘やかすこととは、まったく違います。
今回は、思いやりの瞑想の実習、コンパッションの態度をもった言葉がけの実習を行いました。
瞑想は初体験の方も多かったようですが、相手の良さに注目する習慣がついているメンバーには、コンパッションは理解しやすかったようです。
今回のまとめです。勇気づけとセルフ・コンパッションの共通点は、
- まずは自分自身を勇気づけたり、思いやる気持ちを持つこと。
- 毎日継続することで、レジリエンス(ストレス耐性)が培われる。
- 存在を肯定するエネルギーを作り出す。
次回のテーマは『自分と他者、マインドフルネスでの対人関係』です。
開催日は、5月22日(土・札幌市民交流プラザ)、5月23日(日・ZOOM)です。
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