第121回「孤立せずに自立する!所属のパワー!共同体感覚」「『ぼっち』を楽しむ、マインドフルネス瞑想のススメ」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。札幌では3年ぶりにワインガーデンなど飲食を併設した「さっぽろライラックまつり」が開催されています。ちょうどライラックが満開の時期と重なり、今年はものすごい人出でにぎわっています。ライラックにカメラを向ける人も多く、心なしかライラックも誇らしげに見えます。大通公園では、様々な色や品種のライラックが楽しめます。上の写真のように、縁取りがあり花弁がしっかりとした厚みのあるものや、下の写真のように淡い単色の可憐なものまで! ぜひ、今の時期のライラックをお楽しみください。香りも素敵です!

2023年5月20日(土)と21日(日・ZOOM)、第121回アドラー心理学研究会を開催しました。前半のテーマは、「孤立せずに自立する!所属のパワー!共同体感覚」でした。

「共同体感覚」はアドラー心理学の中心的思想で、「勇気づけ」とともにアドラー心理学の両輪ともいえます。具体的には、共同体に対する所属感、共感、信頼感、貢献感などを総称した感覚や感情のこと。ここでいう共同体とは、身近なところでは家族、友人、知人、学校、職場、サークル、社会全体、国家、人類、究極的には宇宙まで…を指します。時間軸も過去・現在・未来のすべてを包括しているので、壮大ですよね!

また、共同体感覚は精神的な健康のバロメーターであり、幸福には欠かせない要素とされています。この感覚は自分の与えられた状況や環境において、共同体や共同体に所属する人と調和した関係づくりができるかという能力でもあります。共同体の仲間と横の関係を築くことで実現する「つながり感覚」とも言えますね。

具体的には上の5つの感覚のことを指します。中でも「自己受容」は必須!アドラーは「共同体感覚は、生まれつき備わった潜在的な可能性であって、意識して育成されなければならない」と言います。共同体感覚とは、受動的・主観的な「共同体から受ける」感覚や感情よりも、主体的・能動的な「自らの共同体への関わり方」です。相手からの感謝や共感を受けることを期待するのではなく、自分から積極的に感謝を伝えたり共感する努力をすることです。共同体に関わり貢献することで、共同体から信頼や感謝を得て、課題に立ち向かうためのエネルギーである勇気を得ます。

今回は、3名のグループに分かれて「新規共同体設立」ワークを行いました。研究会の参加者は、職業も年齢もバラバラなので、いろんなジャンルの人が集まると何ができるかな!?ということで、(1)相手の良さ、得意なことを引き出す (2)それを活かした仕事やサービスで、何ができるか提案しあう (3)時間があれば屋号や企業名を決めちゃおう! というステップで進みました。大事な点は、今の仕事のスキルよりも、本当に好きなこと、趣味や些細でも得意なことを優先することでした。

すると、わずか20分という短時間で、屋号まで決まるグループが続出! 相手とのスキルやリソースの違いを嫌わず、持ち寄ったらどんな面白いことができるかに集中したからこそ、達成できたのだと思います。すぐに起業ができそうなくらい、具体的なプランまで進んだグループもありました。

実際の起業は、資金面だとか事業計画とか面倒なこともあるでしょう。どちらかというと、リスクに集中しやすくもあります。ある参加者からは「子供のころは、仲間が集まって『おまえ、あれが得意だから担当な!』と、それぞれの得意を確認して『将来、みんなで会社やろうな!』なんて話してた楽しいころを思い出しました」という感想をいただきました。また「このワークの最中は、楽しいことしか考えられませんでした。自分1人じゃないと、できることが3倍になることに気づいた」というご意見も。

長く付き合いのあるメンバーでも「こんな趣味があったの!?」とか「この資格をもっていたとは!」という驚きもあり、とても楽しい時間になりました。インスタントな共同体ではありましたが、各グループの3人同士はあきらかに共同体感覚で繋がっていました。

後半は、「『ぼっち』を楽しむ、マインドフルネス瞑想のススメ」をテーマにし、瞑想を行いました。瞑想は脳科学で解明されたことから、根拠のある脳機能の改善や発達に役立つスキルとして広まりました。私は30年以上瞑想を続ける中で、最初は独学で、その後はヨーガで学び、そしてマインドフルネスで継続しています。たくさんの種類がある瞑想ですが、今回ご紹介するマインドフルネス瞑想は比較的やりやすいのではないかと思います。簡単な手順を掲載しておきます。最初はできるだけ毎日、何か習慣にしていることの後にセットして行うと、習慣づけやすいです。私は朝は歯磨きの前、夜は歯磨きの後にそれぞれ20分間とっています。
初心者の方は、タイマーをかけて5分から始めるのがお勧めです。

日常生活では脳のスピードが速いので、頭から一番遠い足の裏に意識を向け、そして下半身を安定させることから始めます。

  1. 踏みしめのポーズ:身体に意識を向ける手法。軽く四股(しこ)を踏むか、椅子に腰かけている時は、着席したままで軽く足踏みを行ってもOK。1分ほど行います。
  2. グラウンディング:下半身を安定させる手法。両足に意識をしっかり向けて山のようなイメージでどっしりと。床や椅子に座っているときは、座面にお尻が安定して接しているのを意識します。
  3. センタリング:体の中心の縦のラインを意識する手法。頭のてっぺんからみぞおちを通って、尾てい骨まで細い光の筋が通っているのをイメージします。背筋と首筋がスーッと伸びます。
  4. 呼吸に意識を向ける:息を吸うときは、できるだけ鼻から。吸った息が鼻の奥→喉の奥を通り身体に入り、同じ道を通って出ていく呼吸の通り道に意識を向け続けます。呼吸に意識を向けることで息苦しさを感じた時は、意識をそらせて「丹田」に意識を向けてもOK。
  5. 雑念の対処:雑念に気づいたら、いったん意識を向けてから、「あとでまた考えよう」とやり過ごし、呼吸の通り道に戻ります。①雑念に気づく ②雑念を無視しない ③雑念をやり過ごす ④呼吸に意識を戻す の繰り返しです。

これまで何度か大病や怪我をして入院していたとき、瞑想は独りぼっちの孤独から私を救い、死をネガティブなものと捉えていた時に希望を与えてくれました。そして日々、脳をリセットして穏やかな気持ちにしてくれる大切な技術でもあります。良かったと思えるからこそ、30年以上も続けてこられました。多くの方に瞑想の良さをお伝えしていきたく、今後も研究会や講演会などでも実践していきます。

今月のまとめです。

  1. 共同体感覚とは共同体や共同体に所属する人と、調和した関係づくりができる能力。
  2. 共同体感覚は主体的・能動的な「自らの共同体への関わり方」。育成するには「自己への執着」を「他者への関心」に切り替えること。
  3. 瞑想は脳機能の改善や発達に役立つスキル。使えば使うほど、その素晴らしさに気づき、古びたりポンコツにならない宝物の道具ともいえる。

次回のテーマは「人生を人任せにしない!自己決定性と課題分離」「マインドフルネスで感情の客観視」 です。つい物事を人や環境のせいにしてしまい、不機嫌になりがちな人。または、自分や相手の感情に振り回されやすい人は必見の内容です。
ぜひご参加くださいね。

日程は6月17日(土・交流プラザ)、6月18日(日・ZOOM)です。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。


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