第122回「人生を人任せにしない!自己決定性と課題分離」「マインドフルネスで感情の客観視」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。よさこいソーラン祭りや北海道神宮大祭(札幌まつり)が終わり、札幌は少し静かになったような気がします。西12丁目にある札幌資料館前のバラ園は、この時期の昼休みのお散歩コースとなっています。今はちょうど見頃で、これから秋まで約60品種1100株以上のバラがどんどん咲いていきます。トップの写真と下記のコラージュもそのひとつ。ぜひ、お出かけくださいね。

2023年6月17日(土)と18日(日・ZOOM)、第122回アドラー心理学研究会を開催しました。この日はTシャツの配布も行いました。今年は研究会設立10周年記念で、毎年作っているTシャツもポップで素敵なデザインとなりました。しかも3色展開! デザインは会のメンバーでデザイナーの高橋宏比公さんです。毎年ご厚意で作成いただいています。今年もありがとうございました。

プリントしているロゴは「JOY(喜び)」をメインとして、「今この時を楽しもう、喜びを味わおう!」の気持ちを込めています。プリントしているアドラーの名言です。

人生が困難なのではない。
あなたが人生を困難にしているのだ。
人生はきわめてシンプルである。

Life is not the difficult.
But you’re making it difficult to life.
Life is very simple.

さて、今月のテーマは「人生を人任せにしない!自己決定性と課題分離」と「マインドフルネスで感情の客観視」です。アドラー心理学の基本的概念のひとつ「自己決定性(自己決定論)」は、「主体論」「創造的自己」「個人の主体性」とも言われています。いずれも同義で「過去や現在の環境に影響はされるが、自分の人生・行動は、全部自分で決めている」という考え方です。

育った環境や自然環境、社会現象など、個人ではどうしようもできない事柄はたくさんあります。誰しもがそれらから影響を受けることは避けることはできません。しかし、そのような出来事や制約に影響されつつも、自分の行動は自分が決定するというのが、ソフトな決定論(柔らかい決定論)の考え方です。

たとえ身体に障がいがあっても、健常人と同じように仕事をしたり車を運転したり、スポーツを楽しむ方もおられます。自分の置かれた環境で「今、自分にできること」を模索しながら行動に移すこと。つまり自分で思考と感情と行動を決めていることになります。

因果律や決定論では、「今自分が不幸なのは、過去に原因がある」「あの人のせいで、こうなった」「感情に振り回されて行動する」「環境が悪いから、しょうがない」「私が悪いんじゃない。本能がそうさせる」など、自分の意志がないままに物事が進んでいきます。そうなると自分にコントロール権がないので、被害者意識も出てくるでしょうし、不満がつのり、何かにつけて人や環境のせいにしがちです。でも、その考え方では解決策に結びつきにくいのですよね。

いっぽう、課題分離は自分や他者、子供を勇気づけするための技法です。数年前は『嫌われる勇気』で課題分離が注目され、独り歩きしてしまった感がありますが、ほんらいは「共同体感覚」「横の関係」「勇気づけ」を理解したうえで使用する、中級レベルの技法です。

多くの場合、課題は自分と誰かの間に生じます。
①一番身近な相手ともいえる、親子間、きょうだい間、夫婦間。
②友人、職場の同僚や上司との間。
③自分自身の葛藤として、理想と現実のギャップ間で生じるもの。

今回は③に注目して、会社から早期退職を言い渡された女性のケースを(架空の事例)取り上げて、アドラー心理学の理論や思想を使って当事者が前向きに自己決定性を発揮できるよう勇気づけるグループワークを行いました。事例ではつい、自分目線でアドバイスしたり、一刀両断したくなることもありますが、あくまでも目的論や未来志向など、基本的な部分から離れずに勇気づける練習です。

この日は20名の参加があり、各グループとも特徴のあるシェアができました。

後半は「マインドフルネスで感情の客観視」の講義です。翌日のZOOM勉強会では、講義の後にマインドフルネス瞑想の練習もしました。

近年の研究では、ポジティブな感情はなかなか高まらず、一時的に盛り上がっても、気分が下がるのが早い。一方ネガティブな感情はちょっとしたきっかけで即座に高まり、一度上がるとなかなかおさまらないという脳のクセが明らかになりました。

例えば、機嫌の悪い同僚のそばに座っているだけで、こちらまで居心地が悪くなったり、気分が落ち込むことはないでしょうか? イライラしている人が近くにいるだけで、それがネガティブな刺激になり、ネガティブな感情を引き起こすのは、脳波からの信号で不機嫌が伝染(うつ)るからだというのも、研究でわかりました。これを、「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」と呼ぶそうです。フキハラの加害者にならないためには、自分の機嫌には責任を持ち、被害者にならないためには、人の機嫌に振り回されないメンタルを維持する努力が必要です。

痛みとストレス度を例にとると、PMSではいつもの7倍に、肩こりがある人は3倍になるという研究結果が出ています。体調が悪いときは機嫌にも過敏になりがちです。そのことを踏まえて、自分自身の体調と感情の関りについて理解する必要があると感じます。

また、自己肯定感が低い人のストレス度は50%を超え、自己肯定感の高い人は20%弱という結果もあります。完璧主義を目指さず、不完全であるのは成長途中と考え、スモールステップ(小さな目標)を少しずつクリアして達成感を増やすことも自己肯定感を増やす秘訣です。調査によると、ネクタリンの香りがストレス緩和の持続時間が2~4時間と非常に長く、集中力を維持したのはオレンジのアロマだということです。

参考:『フキハラの正体 なぜ、あの人の不機嫌に振り回されるのか?』満倉靖恵 (著) 

自分の機嫌の悪さを人のせいにしないことや、人の起源の悪さを自分のせいにしないことも、課題分離になります。前半にも書きましたが、自分で思考と感情と行動を決めている のです。機嫌の悪さをまき散らして、環境破壊しないよう気をつけたいものですね。(^-^)/

今月のまとめです。

  1. 自己決定性はソフトな決定論である。環境等に影響を受けても、その後の行動は自分で決める。
  2. 自分の中だけでも課題分離はできる。過去や理想に執着していないか?
  3. 自分の感情に責任を持つことは、環境破壊を食い止める!

次回のテーマは「私ってダメなひと…?劣等感を乗り越える!」「心は強く?それとも、しなやかに?レジリエンス再び」
です。レジリエンスはリクエストの多いテーマでした。グループワークが盛り上がったり気づきが多いテーマでもありますので、楽しみです。ぜひご参加くださいね。

日程は7月22日(土・交流プラザ)、7月23日(日・ZOOM)です。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。


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