第124回「アドラー心理学で勇気を与え自尊心を育てる」「自動反応に気づき、オートパイロットを止めるには?」

アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。8月12日(土)と13日(日・ZOOM)、第124回アドラー心理学研究会を開催しました。今回のテーマは、「アドラー心理学で勇気を与え、自尊心を育てる」「自動反応に気づき、オートパイロットを止めるには?」でした。お盆ウィークとあって、家族の行事などもあるなか、みなさんお越しいただき、ありがとうございました。

勇気とは、困難を克服する活力
自尊心とは、すべての人に備わる価値
自分に価値があると思える時、人は勇気が持てる

アルフレッド・アドラー

有限会社ヒューマン・ギルドの岩井俊憲先生は、著書『勇気づけの心理学』で次のように書いています。

勇気づけとは、自己尊重(自尊心)と自己信頼を築くのを支援するために個人の持ち味と潜在力に焦点を当てるプロセスであり、勇気と信頼を確立するのに欠かせない技術を適用することで現実化する理論である。

「個人の持ち味と潜在力に焦点を当てる」というのは、今あるもの、その人がすでに持っている素晴らしい部分やリソースに目を向けるということ。できていないところ、ないものや欠けているところに目を向けるのではありません。勇気づけるにあたり、これは自分自身に対しても、そして他者に対しても必要な視点です。

例えば、他者に対しては「この人には必ず良い持ち味があるはず。それはどこだろう?」「ちょっとしたクセをリフレーミングしたらどうなるかな?」と相手を見ることで、印象が変わることもあります。人に対する第一印象は、変わりづらいものです。「なんか感じ悪い」とか「どうも苦手」という目で相手を見てしまうと、それだけでとっつきにくくなったり、距離ができてしまいます。

自尊感情(自尊心)を培うために、前回学んだレジリエンスのパートの内容も引用しました。

  • 自己発見の機会を探す:困難を乗り越える経験は、レジリエンスを鍛えます。大きな悲しみや困難の後、時間が経って振り返ったときに成長が見えることが多いものです。
  • ウェルネスを育む:身体的、精神的、社会的に健康な状態を保ちます。充分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動など、身体と心の健康を大事にする習慣を作ります。
  • 自分を大切にする:レジリエンスの基本は、自分を大事にすること。(=セルフ・コンパッション)。

グループワークでは、「自尊心を保つために、自覚的にしていることはどんなこと?」をテーマに、習慣化されている行動や、勇気づけの態度に基づいた思考について語りました。

多くの方は、何らかの運動やエクササイズを自分なりに続けていて、中には20年間テレビの体操を続けている方もおられました。また、毎日のペットのお世話や草花のケア、ご先祖様に手を合わせるなど、ルーティンワークが決まっている方も多かったです。他には、「良かったことを3つ書く日記」を続けている方も!私もこれを続けて8年目になりました。

自尊心は自己勇気づけを意識をしてこそ、保ち育まれるもの。私が提案したのは以下の4項目です。ひとつずつ解説します。

コロナ禍になって、当たり前のことができなくなることがものすごくストレスに感じたこともあったはずです。日々の当たり前を幸せと感じ、「感謝」できることは、それだけでも生きている価値があると思うのです。むしろ、どれだけ小さな幸せを見つけられるかで、幸福度が上がると言っても過言ではないでしょう。

「加点」は原点の逆です。つい身近な相手や自分自身にダメ出ししていませんか? ダメ出しは、習慣化すると勇気くじきの行動となります。良いところに着目する習慣づけをしましょう。

「傾聴」は、相手の話を聴くだけではなく、自分自身の心と身体にも耳を傾けます。「無理をし過ぎじゃないかな?」「弱音を吐いてもいいんだよ」と、自分の心をそっと抱きしめるように接してみましょう。

「前進」は、スモールステップをたくさん作ることで、小さくてもたくさんの達成感を感じることができます。大きな一歩は確かにやった感があるかもしれませんが、やる気ホルモンと呼ばれるドパミンを脳に出すためには、小さな達成感を作り続ける方が効率が良いのです。

いずれも些細なことですが、続けることで、自分の心の変化が見て取れると思います! もし子育て中の方がいらっしゃれば、ぜひこれらを意識して声掛けしてみてくださいね。

後半のマインドフルネスでは、「脳のオートパイロットを止めるには?」というテーマで、デフォルトモード・ネットワークについてお話をしました。脳は体重の2%ほどの大きさにもかかわらず、身体の消費エネルギーの20%を使います。この消費エネルギーの大半は、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という脳の回路に使われています。DMNとは脳内ネットワークのひとつで、脳が意識的な活動をしていないときに働くベースライン活動(※)です。自動車でいうとアイドリング・モードと言っていいでしょう。 ※ ベースライン活動:安静時の脳の活動

DMNをオフにするには、瞑想が良いとされています。呼吸だけに意識を向けるマインドフルネス瞑想や、ムーブメント瞑想がお勧めです。ムーブメント瞑想とは、一つの動作を丁寧に意識的に行うこと。右腕を上げる、下げるとか、首をゆっくり右に向ける、正面に戻す、左に向けるなど、呼吸に合わせて動くやり方です。「呼吸に合わせる」「ゆっくり」「繰り返す」ことがポイントです。

研究会では、首をゆっくり動かしたり、腕をゆっくり上げ下げする、呼吸を意識した瞑想をいくつか実習しました。短時間でしたが、呼吸が深くなったり、終わった後視界がクリアになったり、気分が落ち着いたという感想が多く聞かれました。

今月のまとめです。

  1. 自尊心はほっといては上がらない!自己勇気づけを意識すること。
  2. 感謝、加点、傾聴、前進を認める この4点を自分にも他者にも!
  3. DMNは使い方次第。抑うつ状態の時はオフ気味にして、瞑想を活用して。

次回のテーマは「『理解できない!』あの人の行動の目的は?」「マインドフルネスで部屋も心もスッキリ片付けよう!」です。つい行動の原因に意識が向きがちですが、目的を考えるととらえ方が変わる、アドラー心理学の目的論を学びます。部屋の片づけが苦手、モノが捨てられないという人は必見の、マインドフルネスでモノと心のお片付け。この手法を理解して、500着ある服を100着まで減らせた人や、ごみ袋30袋ぶんのモノを処分して、汚部屋を脱出してアレルギーとぜんそくが完治した人もいます!

日程は9月9日(土・交流プラザ)、9月10日(日・ZOOM)です。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。


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