アドラー心理学研究会Plus代表の佐高葵月代です。2022年2月12日(土)と13日(日・ZOOM)、第106回アドラー心理学研究会を開催しました。2月5日~6日にかけての記録的な大雪とコロナ禍の影響もあり、通常よりも少ない人数での開催となりました。そのぶん、ZOOMや録画視聴をされる方も増えています。ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
今回のテーマは「あなたが人生の主人公!~アドラー心理学の自己決定性~」と後半は「陰と陽のセルフ・コンパッション」の実習を行いました。
アドラーは、「重要なことは、何を持って生まれたかではなく、与えられたものをどう使いこなすかだ」と言葉を残しており、環境によって人間が影響を受けることはありますが、その人が生きる環境はまた、その人が作り出すものであると捉えています。たとえ身体や器官に障がいがあったとしても、それを建設的に使うか非建設的に使うかは本人次第です。アドラーはその行動を選択する際に使われるのが、そのひとの創造力であると言います。
私達は下記のような要素(素材)ことについて、辛い境遇をそのせいにすることがあります。
- 遺伝:遺伝的に禿げやすい、遺伝的に足が遅い など
- 環境:母子家庭だった、家が貧乏である など
- 器官劣等性:生まれつき目が見えない、足が不自由 など
- 過去の経験:子供の頃にいじめられた、離婚した など
これらの要素を使って人生の課題から逃げることをアドラーは「人生の嘘」と表現しています。また、これらを言い訳として人生の課題に取り組まないことを、劣等コンプレックスと呼びます。人やモノや環境のせいにしている限り、そこには被害者意識が生まれ、現状の解決にはなりません。次の行動を選んでいるのは自分であり、何を選ぶかは自分の意思です。
例えばパラリンピックの選手たちの多くは、器官劣等性を乗り越えて、競技に出場するべく想像を絶するような努力とトレーニングを重ねています。試合で私達が目にする数分間の裏には、強い意志、決意、継続をするライフスタイルが存在します。
私達も、自分にすでに備わっている「何をどう使うか」を知るために、自分のリソースをチェックすることも必要かもしれません。自分のリソースは素晴らしいものなのに、気づきにくいこともありますね。今回は相手のリソースへの着目と、自分のリソースを受け入れるワークを行いました。
後半の「陰と陽のセルフ・コンパッション」では、自他のために行動する力をもたらす陽のセルフ・コンパッションの実習と、そこからつなげて自分に優しく接する陰のセルフ・コンパッションの瞑想を行いました。
どちらのセルフ・コンパッションにも共通しているのは、「自分に対して親身で思いやりを持つ」態度です。「私には、優しくされる価値があるのだ」ということを忘れないでくださいね。アドラーも「自分に価値があると思える時、ひとは勇気を持てる」と言っています。
今月のまとめです。
- 自分にはどんな時もスポットライトが当たっている、人生の主人公である。
- 人生を創るのは「素材」だけではなく、それをどう使うかの「意思(腕)」次第。
- 「自分の感情を大切にする(セルフ・コンパッション)」と「自分の真価をきちんと認める(セルフ・アプリシエーション)」を決意すること!
次回のテーマは「アドラー心理学の横の関係」「マインドフルネスとレジリエンス」です。
開催日は、3月19日(土・札幌市民交流プラザ)、3月20日(日・ZOOM)です。
会員にのみ、ZOOMの録画配信をしています。ぜひご利用ください。
⇒ 詳細とお申込みは、こちらから。